極東での銅と天然ガスの大規模プロジェクト、融資にゴーサイン
(ロシア)
モスクワ発
2019年04月10日
ロシア政府系開発金融機関のVEB.RF〔2018年12月に開発対外経済銀行(VEB)から改称〕が3月26日、ドミトリー・メドベージェフ首相を議長とする監督委員会を開催、ロシア極東の2事業に対する融資を決定した。
事業の1つは、ザバイカル地方北部にあるウドカン銅鉱床の開発。確定鉱石埋蔵量が3億トン、推定鉱石埋蔵量が11億トンあり、ロシアで最大、世界でも第3の規模の銅鉱床となる。鉱業や通信業などに投資を行うUSMホールディング傘下のバイカル鉱業会社が事業会社になる。計画では、第1段階として2021年後半には銅生産工場の試運転を開始し、2022年の年間鉱石生産量を1,200万トンと見込む。同段階での投資額は約30億ドルで、うち3分の1程度を事業会社の資金、残りをVEB.RF、ガスプロムバンク、ズベルバンクからなるシンジケートローンで賄う。
第2の事業は、アムール州スボボドヌィのアムール天然ガス処理工場。ガスプロムの事業で、天然ガス処理能力はロシアで最大、世界でも2番目で、ヘリウム生産量でも世界最大規模となるプロジェクトだ(2017年8月23日記事参照)。第1期工事は2021年に完了して試運転を始め、最終的な完工は2025年の予定。年間の天然ガス処理能力は420億立方メートル、他の生産物としてエタン(年産:200万トン)、プロパン(100万トン)、ブタン(50万トン)、ペンタン・ヘキサン留分(20万トン)、ヘリウム(6,000万立方メートル)が挙げられている。総投資額は190億ユーロで、ガスプロムが全体の3分の1、VEB.RFが15億ユーロで、ロシア、中国、欧州の銀行によるコンソーシアムが残りを賄う。
(タギール・フジヤトフ)
(ロシア)
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