インド工業連盟、アフリカ協力での第三国連携強調

(インド)

ニューデリー発

2019年04月03日

インド工業連盟(CII)は3月17日、インド輸出入銀行とニューデリーで共催したインド・アフリカコンクレーブで、「アフリカの中のインド~第三国協力の開発~」と題する調査レポートを発表し、アフリカへの経済協力の在り方として、第三国との連携の重要性を訴えた。レポートでは、連携の候補国として日本、ドイツ、米国、フランス、アラブ首長国連邦(UAE)を取り上げ、各国のアフリカとの貿易・投資状況や開発支援などの状況を概観しつつ、インドと各国との協力可能性について検討している。その上で、インドと連携国の金融機関の共同開発ファンド立ち上げなどによるインフラ事業での協力、経済開発援助ではなく民間投資をベースとした製造業、サービス業の展開、インドとアフリカのスタートアップなどのニュービジネス交流に言及した。また、多くの分野でアフリカ人材のキャパシティー・ビルディングが重要だとし、インド外務省などのスキームを活用した人材育成事業の活性化が望まれるとした。

レポートでは、ジェトロとCIIがこれまでインド、日本、ウガンダ、ナイジェリアなどで日本企業とアフリカ事業を展開するインドおよびインド系企業との交流会を実施してきたことを先行事例として紹介し、同様の取り組みがさらに頻繁かつ集中的に実施されるべきとしている。

分科会でも日本のプレゼンスをアピール

コンクレーブ会期中の18日には、第三国協力をテーマにした分科会も開催された。アフリカからはギニアのティブー・カマラ工業相が参加した。さらに第三国の政府・国際機関から、コモンウェルス開発公社、アフリカ開発銀行、在インドの英国、フランス、アラブ首長国連邦(UAE)大使館、ジェトロ、エンジニアリング関連コンサル会社の代表がパネリストとして発表した。ジェトロ・ニューデリーの仲條一哉所長は、日印による協業の類型〔(1)インドからアフリカへの製品輸出、(2)日印企業の協業によるアフリカでのプロジェクト実施、(3)日印企業によるアフリカでの共同投資、(4)日印およびアフリカのスタートアップ企業が連携したビジネス〕と具体例について紹介。日印両首脳間、および世耕弘成経産相とスレシュ・プラブー商工相間で合意しているビジネスプラットフォームの設立に向けた準備をジェトロとCIIが協力して進めることを表明するとともに、インフラ整備やインド・アフリカ間の自由貿易協定(FTA)などの環境整備の必要性を指摘した。各スピーカーからは、具体的なBtoBの案件組成への協力推進、援助から民間投資、特にインドを核とした各国協調の重要性を訴える意見や、インドと各国のビジネス連携を深めるための仕組み作り、リスク低減のためのファイナンス充実などを考慮すべきといった意見が出された。

コンクレーブ最終日の19日には、関係者を招いたネットワーキングが開催され、日本側の20企業・機関から24人、インド側の22企業・機関から27人が参加した。日本企業はインド製品をアフリカに輸出している事例や、インドからのアフリカ市場開拓の現状や課題などを紹介し、インド側はアフリカビジネスに関心を持つ企業の紹介や、日本企業との協業の在り方などを説明し、意見交換がなされた。

写真 第三国協力に関する分科会でのパネリストたち(ジェトロ撮影)

第三国協力に関する分科会でのパネリストたち(ジェトロ撮影)

(古屋礼子)

(インド)

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