プログラム製品統一登記簿をEEU加盟国に拡大、政府調達市場を開放

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

欧州ロシアCIS課

2019年04月11日

ロシアのデジタル発展・通信・マスコミ省は4月9日、「ユーラシア経済連合(EEU)加盟国の電子計算機および政府データベースのための統一登記簿プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の運用を開始した。プログラム製品を登記することで、ロシア政府機関と政府関連企業・団体が行う調達で優遇されるもので、これまではロシア製に限定されていたが(2016年9月29日記事参照)、今回、EEU加盟国に対象が拡大された。

同登記簿の対象となる製品は、a.BIOS(注)ソフトウエア、b.データベース、c.通信用ファームウエア、d.地理情報システム、e.不正アクセス対策プログラムの5つ。登記人の主体は同製品の権利者でかつ、a.EEU加盟国国民、b.EEU加盟国政府、c.EEU加盟国の市町村団体(地方自治体)、d.外国(EEU加盟国以外)が支配的でない非営利組織、e.同商業団体の5つ。

デジタル発展・通信・マスコミ省のコンスタンチン・ノソフ大臣は「この登記制度はEEU加盟国のプログラム開発者(企業)に対して、立法的にロシア市場での優先権を与えるものだ。ロシア政府機関や政府出資の団体・企業が行う調達で優先権が与えられ、その市場規模は数百万ドルに及ぶ」と、その利点を述べている。現時点で統一登記簿はロシア側による一方的な導入となっているが、同大臣は「システムがどのように機能するか見てもらい、EEU加盟国のレベルでもこのイニシアチブを導入してもらいたい」として、残りのEEU加盟国に対してシステムへの参加・導入を呼びかけている。

サービス分野やIT・デジタル分野でのEEU加盟国の市場統合はEEUサミットなどで複数回、議論されている(2018年5月16日記事参照)。人件費が安く、IT産業に強みを持つアルメニアやベラルーシ、キルギスなどはロシア市場への参入を強く希望していたことから、今後、同市場で競争・協業・分業などの動きが活発化する可能性がある。

(注)Basic Input/Output Systemの略。OSの起動やPCと接続機器間の入出力を制御する。

(高橋淳)

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア)

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