輸出拡大に向けRCEPに賛否、商工相らが発言

(インド)

ニューデリー発

2019年04月17日

インドは5月中旬までの総選挙期間に入っている。同月末には新政権が発足する見込みだが、新政権下の産業・通商政策に早くも注目が集まっている。貿易赤字を抱えるインドでは、輸出競争力の強化が叫ばれている。

モディ現政権で商工相を務めるスレシュ・プラブー氏は4月4日、ニューデリーで開催されたインド工業連盟(CII)の年次総会で発言し、「輸出が拡大しなれば、経済成長の牽引役とはならない」とし、農産品の輸出政策の整備や中国向け輸出拡大策の検討を進めていることを明らかにした。また、2019年中の交渉妥結が期待される東アジア地域包括的経済連携(RCEP)へのインドの参加の是非について問われ、「インドに利益があれば締結し、なければ参加しない、という判断だろう」とコメントした。

同総会にプラブー氏とともに出席した、コロンビア大学の経済学教授アルビンド・パナガリヤ氏〔首相への政策助言機関のインド改造評議会(NITI Aayog)の前副総裁〕はインドの通商政策やRCEPについて触れ、「インドは輸入代替政策から自由貿易へとかじを切ってきたが、近年は関税引き下げも見られず、むしろ、過去2年間は一部製品の関税が引き上げられている」と指摘。「インドは自由貿易の流れに逆行している」と懸念を表明した。続けて、「輸入代替政策は経済の効率性を下げる。現在交渉中のEUとの自由貿易協定(FTA)やRCEPの締結を急ぐべきだ」との見解を示した。さらに、「RCEPが実現すれば、実質的にはインドと中国との初めてのFTAとなる。これにより国内産業に競争をもたらし、効率化を図れれば、インドを輸出ハブにすることが可能となる」とした。

(古屋礼子)

(インド)

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