ゼレンスキー氏が現職を破り、大統領就任へ

(ウクライナ)

欧州ロシアCIS課

2019年04月22日

ウクライナの大統領選挙の決選投票が4月21日に実施された。中央選挙管理委員会が発表した4月22日午前4時時点の開票速報によると、ウクライナ国内での開票率は65%で、新人のボロディミル・ゼレンスキー氏が73.03%の得票率となり、現職大統領のペトロ・ポロシェンコ氏の得票率24.64%を大きく上回った。ゼレンスキー氏は勝利宣言を行い、同氏の大統領就任に当たり大統領府のポストを削減すること、ポロシェンコ氏については何らかの待遇(ポスト)を用意する準備があることを発表している。

ゼレンスキー氏は、中央選挙管理委員会による選挙結果確定後30日以内に所定の手続きを経て新大統領に就任する。一方、首相やその他閣僚を任命する権限はウクライナ議会(最高議会:ベルホブナ・ラダ)にあり、現在はポロシェンコ氏を支持する勢力が多数派を占めていることから、2019年秋に行なわれる議会選挙も見据えて、ゼレンスキー氏が議会とどのような関係を構築するかが注目される。

なお、ゼレンスキー氏は決選投票前の4月18日に、自身の19人からなる政策チームを紹介した。経済分野では、税法専門の弁護士ダニロ・ヘツマンツェフ氏(経済・財政・税務担当)、前財務相のオレクサンドル・ダニリュク氏〔国際関係、財政・金融(銀行)政策担当〕が紹介されている。チームのメンバーは、(閣僚候補ではなく)大統領府での政策立案に当たるとしている(ゼレンスキー氏の選挙公約については2019年4月1日記事参照)。

ゼレンスキー氏の勝利を受けて、米国のトランプ大統領、EUのトゥスク欧州理事会常任議長ら欧米諸国の首脳のほか、CIS地域ではアルメニアのニコル・パシニャン首相らから電話もしくは祝電などが届いている。ロシアからは、外務省のマリア・ザハロワ報道官が「ウクライナでの『リセット』に期待する」とフェイスブックに投稿したほか、アレクセイ・クドリン会計検査院議長は「ロシアとウクライナ間の対話プロセスの再開を期待したい」とツイートしている。

(高橋淳)

(ウクライナ)

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