SAABの遺産の自動車工場、ドイツのソーラー・セル電気自動車で復活

(スウェーデン、ドイツ)

ロンドン発

2019年04月22日

ドイツの電気自動車開発のソノ・モーターズは4月17日、スウェーデン南西部のトロルヘッタン市にあるナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)の工場で、太陽光発電で電力を賄う電気自動車(SEV)を生産すると発表した。NEVSは、2012年に設立され、倒産したサーブ・オートモービル(SAAB)の資産を買収、1月から中国の不動産大手、恒大集団の傘下となっている。トロルヘッタン工場でのNEVSのガソリン車生産は2014年に終了し、その後は電気自動車を生産する予定だった。NEVSは中国での電気自動車生産は継続していたものの、トロルヘッタン工場では2014年以来、自動車は生産されていなかった。

車体に太陽光発電のセルを貼る新技術の電気自動車

ソノ・モーターズは2016年にドイツのミュンヘンで設立された電気自動車メーカーだ。トロルヘッタン工場では、ソノ・モーターズの電気自動車シオン「Sion」を2020年秋から8年間にわたり26万台生産予定としている。4月17日現在の予約注文数は9,792台だ。シオンの車体には太陽光パネルが貼られており、太陽光や家庭用電源のコンセントからの充電、さらに他の電気自動車から直接の充電もできる。

ソノ・モーターズは、SAABのモノづくりの遺産が残るNEVSのトロルヘッタン工場でシオンを生産することは、効率的で理にかなっており、トロルヘッタン工場が100%再生可能エネルギーで稼働することも、同社の理念にかなっているとしている。

NEVSの生産主任のフレディ・プロイ氏は4月17日、スウェーデン・ラジオのインタビューで、「2020年には大規模な雇用が生まれる予定で、トロルヘッタン市にとって大きな意味を持つものだ」と今回の決定を歓迎した。

写真 NEVのトロルヘッタン工場(ソノ・モーターズ提供 Sono Motors©)

NEVのトロルヘッタン工場(ソノ・モーターズ提供 Sono Motors©)

写真 電気自動車「シオン」(ソノ・モーターズ提供 Sono Motors©)

電気自動車「シオン」(ソノ・モーターズ提供 Sono Motors©)

(三瓶恵子)

(スウェーデン、ドイツ)

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