英国政府、ノー・ディール時の工業製品の販売ガイダンスを公表

(英国)

ロンドン発

2019年04月08日

英国政府は4月3日、英国が何ら合意なくEUを離脱(ノー・ディール)することになる場合の英国市場での工業製品の販売外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますEU市場での工業製品の販売外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのガイダンスに、「上市(placing on the market)」(新製品の市場投入、市販の意)の定義に関する通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を追加した。

通達ではまず、EUのニュー・アプローチ指令に該当する製品を英国またはEU市場に出す「上市」の定義について、当該製品が初めて流通、消費、使用されるための商業行為として市場に提供される時だと説明。上市に際して、製品が所定の要求・基準を満たしているのか、適合性評価が必要となる。

EU加盟27カ国(EU27)から英国に輸入される場合、製品がEUの要求事項に適合していれば英国での上市が認められる。また、離脱前に既に英国で販売されているEU製品は「上市済み」と見なされ、これまで英国市場で当該製品を提供していた英国側企業は、輸入者ではなく「ディストリビューター」として見なされる。他方、欧州委員会のガイダンスによると、EU市場では(英国企業の製品が)ブレグジット前に上市されている場合は、引き続き上市済みと扱われるが、離脱前に英国市場のみで上市されていた製品については、離脱日以降はEUで上市されていたとは見なされない。

通達では、英国・EU間で輸出入される製品のそれぞれの市場での上市について、ビジネスのパターンごとに解説PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)している。

表 通達で解説している「上市」のパターン

(1)では、英国の製造者とEU27の顧客間で販売契約がされた時点を「上市」と見なすため、契約が離脱日前に締結された場合は、離脱日に製品が輸送中でも、離脱日前からEU市場に上市していたと見なされる。それにより、当該製品は引き続きEU市場で販売でき、再度の認証やラベリング、製品変更は必要ないとされる。ただし、英国の認証機関はノー・ディールの場合はEU認証機関と見なされないため、認証を必要とする製品はこの限りではないとみられる。他方、認定代理人はその権限を失うため、製造者はEU27において新たに認定代理人を任命する必要がある。

(4)の場合も、離脱日前に上市されていたと見なされるため、再度の認証などは必要ない。EUの認定代理人は、離脱日前に英国の製造者により任命されていれば、離脱日以降も英国市場で同様に認識されるとのことだ。

本ガイダンス内のEU側での取り扱いは、欧州委員会発行のガイダンスを基に解釈されており、詳細はEU側のガイダンスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照するように勧めている。

(鵜澤聡)

(英国)

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