中央銀行がインフレ抑制策を発表、為替バンドの上下限値を固定

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年04月22日

アルゼンチンのギド・サンドレリス中央銀行総裁は4月16日、3月の消費者物価指数の発表を受けて記者会見を行い、インフレ抑制を目的とした新たな為替面での取り組みを発表した。

中銀は2018年9月に新たな金融政策を発表し、その後も為替の安定によるインフレの抑制に取り組んでいる(2018年10月1日記事参照)。今回発表された変更の1つは、対ドルレートの為替バンド制の運用についてだ。政策発表当初は1ドル=33~44ペソの為替バンド(Zona de no intervensión)を設定し、その範囲内では為替介入を行わず、毎月3%(その後1.75%)ずつ為替バンドを調整するとしてきたが、今回の発表では、為替バンドの上限を51.45ペソ、下限を39.75ペソに固定し、2019年中は調整を行わないとした。また当初は、ペソがバンドの上下限値から逸脱した場合は為替介入を行ってきたが、今回の決定では、6月末日までは為替レートが下限を下回っても介入は行わないとした。

サンドレリス総裁は、2018年9月から進めてきた金融政策の中で、マネタリーベースを拡大しないことによって2018年末まではインフレが抑制されてきたものの、2019年に入ってからインフレ率が上昇を続けており、その理由として公共料金の値上げとペソの下落を挙げた。3月の月間消費者物価上昇率に対しても「4.7%は(数値として)高過ぎる」と述べており、行き過ぎたインフレを為替の安定によって抑制することを目指しているとされる。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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