保税地域内のIT在庫管理を支援・指導

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年04月30日

インドネシア財務省・税関は保税地域に関する財務大臣規程などを整備し、保税地域内の事業者による情報技術を活用した貨物の出入り管理(IT在庫管理)の支援・指導に取り組んでいる。税関から通知を受け、IT在庫管理状況の改善を求められた事業者などは2019年11月末までに、IT在庫管理と自社の会計情報システムとをリンクさせるなどの対応が必要だ。

財務省・税関は2018年9月、保税地域事業者などに対し、IT在庫管理システムを自社の会計情報システムのサブシステムとしてリンクさせ、かつ、関税総局、税関および税務当局へのアクセス権の付与を義務付ける財務大臣規程2018年第131号を公布した。同年11月には、その具体的基準を定めた関税総局長規程2018年第19号を公布した。そして3月、IT在庫管理が会計情報システムのサブシステムになっているか調査し、改善が必要な事業者などには税関が支援・指導を行うという一連の手順を関税総局の公式見解として示した。

手順1:IT在庫管理状況を調査することを事業者等へ通知し、現況を識別

  1. 会計情報システムを有し、IT在庫管理がサブシステム
  2. 会計情報システムとIT在庫管理システムを有し、両者は統合
  3. 会計情報システムとIT在庫管理システムを有するが、両者は独立
  4. 貨物の出入りはIT在庫管理システムで記録、その他はEXCELなどで記録

手順2:3.または4.の事業者などには税関が支援・指導

一連の動きは、事業者などのシステムにアクセスするだけで保税地域内の在庫管理状況を容易にモニタリングしたい税関側の意向や、良好な事業者などに保税地域内の自己管理をさせ、保税地域のブランド価値を高めてさらに事業者を呼び込み、輸出促進などを図る狙いもうかがえる。

他方、IT在庫管理と会計情報システムのリンクのため事業者などが費用負担を強いられる懸念もある。その点について、関税総局は「事業者などに多大な費用負担をさせる意図はなく、既存のシステム改善などで対応すればよい」とし、詳しくは税関とよく相談してほしいとのことだ。

なお、識別結果が3.または4.の事業者などは、11月30日までにIT在庫管理状況を改善しないと、保税地域事業者免許を凍結されるので、注意が必要だ。

詳細は、添付の参考資料1~3を参照のこと〔参考資料1:財務大臣規程2018年第131号(原文)、参考資料2:関税総局長規程2018年第19号(原文)、参考資料3:保税地域のIT在庫に関する規定の概要(日本語)〕。

(佐々木新平)

(インドネシア)

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