優良借入者制度の法改正実施

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年04月11日

ブラジル政府は優良借入者制度(ポジティブ登録制度)の利用拡大を図るために、4月8日付の補足法令166号を9日付官報に公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この制度は、債務不履行歴がない優良な借入者を信用データ会社などが把握し、情報提供できるよう整備することで、金融機関などの貸出金利の低下、融資の増加を促すものだ。制度は2011年6月9日付法令12414号で規定され、既に運用されていたが、借入者が自己の借入記録の利用を明示的に同意しない限り、情報を活用できないという問題があった。今回の補足法令は、借入者の同意がなくても信用データ会社が制度の目的で情報を活用できるようになる。登録される借入者に対しては、その旨の通知が情報を取り扱う信用データ会社などからなされ、借入者は登録を拒否することもできる。

経済省のカルロス・ダ・コスタ生産性・雇用・競争力特別局長は4月8日、「この制度により、融資市場にある全ての組織が個々の消費者、事業者に関して同じ情報にアクセスできる。その情報に基づいて、個々の借入者に適切な融資条件、すなわち融資期間、融資額、貸出金利が提示され、金融機関などの競争が生れる」とその意義を語った。

中央銀行資料でブラジルにおける融資残高の対GDP比をみると、2月に47.0%の水準にある。貸出金利の平均値(注)は、2月時点で個人向けが年率26.5%、法人向けが14.5%となっている。

(注)ここの値は全ての金融機関の貸し出し実績を基に中央銀行が算出した値で、クレジット・コスト・インディケーター(ICC)に基づく。

(二宮康史)

(ブラジル)

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