世界最大級のSTSハブ、ジョホール州に建設

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年04月12日

マレーシアの地場企業のKAプトラと、香港のターミナルオペレーターのハチソンポートは4月3日、ジョホール州南西部のタンジュン・ペラパス港の沖合で、タンカーが洋上で互いに接舷して積荷を移し替えるシップトゥシップ(STS)方式で主に石油製品や船舶燃料の移送を行うSTSハブの開発に関する合弁契約を締結した。投資見込み額は1億5,000万~1億8,000万ドルで、2021年末の完成を目指す。KAプトラの完全子会社のKAプトラSTSハブにハチソンポートが30%を出資する。

今回のSTSハブは、タンジュン・ペラパス港の沖合3.5キロの洋上に約1,200ヘクタールにわたって開発される計画で、係船浮標(注)やタンカーが接舷するための人工埠頭(ふとう)が設置され、30隻の超大型原油タンカー(VCCL)を一度に受け入れることができる。ジョホール港湾庁によると、マレーシア半島部には8カ所のSTS立地があり、うち4カ所がジョホール州に位置する(2017年5月時点)。国内の既存のSTSハブでは9隻が最大で、3倍以上の規模となる。また、石油製品の貯蔵キャパシティーは900万トン超となる見込みで、STSハブとしては、世界でも最大規模だという。

ジョホール州での石油関連ビジネスを後押し

KAプトラは2005年からSTSサービスを開始しており、セランゴール州のクラン港、マラッカ州のタンジュン・ベルアス港、ジョホール州のタンジュン・ペラパス港の3カ所で、STSオペレーターライセンスを取得している。KAプトラのシャールル・アミルル会長は「新たなSTSハブはマレーシア経済に、年間180億リンギ(約43億ドル、1リンギ=約0.24ドル)の貢献を生み出す」と述べ、マレーシアの高度人材を含めた雇用創出も見込む。加えて、ジョホール州南部ではタンジュン・ビンの石油貯蔵ターミナルやペンゲランの石油精製施設などの開発も進んでおり、STSハブが域内の石油関連ビジネスを促進し、マレーシアが世界における石油製品の中継拠点の1つとなることを強調した(「ニュー・ストレーツ・タイムズ」紙4月3日)。合弁契約の調印式に出席したマハティール・モハマド首相も「STSハブは、マレーシアの経済成長を押し上げるだろう」と期待を示した(「ザ・スター」紙4月3日)。

(注)船舶が港湾の水域で停留するための施設。

(田中麻理)

(マレーシア)

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