連邦政府、コメなど農業振興重視も密輸対策などに課題

(ナイジェリア)

ラゴス発

2019年04月24日

ナイジェリア連邦政府はコメの生産を促進しており、密輸の抑止が課題の1つだ。ナイジェリアの中央銀行は、一部の品目について輸入決済のための外貨調達を禁止している。2015年6月にコメ、野菜、肉類、食用油脂、鉄鋼製品、木材、家具、布、せっけん、化粧品など41品目を対象とし、2018年12月には肥料を加えて42品目とした。そうした中、ラゴス商工会議所のムダ・ユスフ事務局長は4月16日、ジェトロのインタビューに対し、「中銀は貿易制限政策ではなく、本来は金融政策を実施すべきだ。また、政府は国内産業を育成するのであれば、規制による国内産業の保護にのみ固執するのではなく、まず密輸抑止が先決だ」と述べた。

ナイジェリアは、コメの消費量626万トンに対し生産量が338万トン(米国農務省による2019年予測)と、自給率54%にもかかわらず、輸入規制が奏功し、ナイジェリア国家統計局によるコメ輸入量は2015年の64万トンから2017年の 2万トンに激減している。

しかし、タイの米穀輸出協会のデータによると、ナイジェリアの西隣ベナンに、タイから2018年に149万トン、ベナンの西隣トーゴに2018年に16万5,000トンが輸入されている。2カ国の人口やGDPを考慮すると、タイ産コメがベナンやトーゴ経由でナイジェリアに密輸されているのではないか、との見方もある。

2月の選挙を経て、2期目に入ったムハンマド・ブハリ大統領は、石油に頼らない産業多角化を目指しており、農業は最も重視している分野だ。約2億の人口だが、伝統的な粗粒を食べなくなり、コメ食に徐々にシフトしている。しかし、農家は仕入れコストの上昇、治安、洪水被害のため、収量が上がらないとしている。ナイジェリアの国産米は輸入米に比べて味が良いものの、精米の質が悪く、石が頻繁に混入している。また、価格も密輸されたコメの方が安いのが実情だ。

(西澤成世)

(ナイジェリア)

ビジネス短信 1aba04c6ef1c2ef9