東シベリアで大規模発電所・アルミ製造工場の合同事業が稼働

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年04月02日

ロシアのアルミ製造大手ルスアルと水力発電大手ルスギドロは3月29日、東シベリア・クラスノヤルスク地方南部のボグチャンスク地区に建設したボグチャンスク・アルミ工場の第1期ラインが稼働したと発表した。同工場は、ルスアルがアルミ製造工程、ルスギドロが工場への電力供給を担当する「ボグチャンスク発電金属合同」事業の一部となる。

この事業は2006年5月に両社間で合意したもので、ロシアでの大規模な官民連携の先駆けとされる。ボグチャンスク水力発電所の設備更新とアルミ製造工場建設の2つの事業から構成され、政府のアンガラ川(注)下流域開発計画の中核事業と位置付けられていた。水力発電所については、2012年に新しく導入された第1発電機が稼働し、2013~2014年には1基当たり333メガワットの水力発電機が9基導入され、ソ連崩壊後の最高年間導入容量を記録。2015年には計画容量である2,997メガワットに達し、2017年12月に建設工事が終了している。2018年には前年比2.4%増となる136億1,000万キロワット時を発電し、ロシアでは5番目の発電規模を持つ水力発電所となっている。

一方、今回稼働したアルミ製造工場の第1期ラインの製造能力は年間29万8,000万トンで、事業費は16億9,000万ドル。最終的な生産能力は年産60万トンまで拡大され、ロシアで3番目の生産能力を有する予定。ルスアルのエブゲニー・ニキチン社長は同工場について、最新の設備で競争力のある製品を供給できるほか、ISO14001に適合し環境にも配慮した工場だと述べている。また、「ボグチャンスク発電金属合同」事業は世界でも最大規模の発電・金属事業で、事業全体で1万人の新規雇用を創出し地元経済・社会への貢献も大きいと説明している。

アルミ工場の稼働式典は3月28~30日に開催されたクラスノヤルスク経済フォーラムに合わせて行われ、ドミトリー・コザク副首相も出席した。また、ロシア政府は4月1日、東シベリアのエニセイ川流域の3連邦構成体(クラスノヤルスク地方、ハカシア共和国、ティバ共和国)の社会・経済発展の活発化、インフラ整備、税収増加、新規雇用と住民の所得増を目的とし、32の投資計画からなる複合投資事業「エニセイのシベリア」を発表している(2019年3月29日付連邦政府指示第571-r号)。

(注)バイカル湖からエニセイ川へ注ぐ東シベリアの川。

(高橋淳)

(ロシア)

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