イスラエルコミュニティーのアクセラレーター始動

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年04月02日

ブラジルのイスラエルコミュニティーのアクセラレーター、メルカス(Merkaz外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は4月1日、スタートアップ企業と大企業のネットワーキングイベントを開催した。ブラジルには米国に次ぐ規模のイスラエルコミュニティーがあるとされる。今回のイベントは地元の大手金融機関イタウが運営するサンパウロ市内のインキュベーション施設クーボ(Cubo)で開かれ、関係者約100人が集まった。

内容は3部構成で、第1部では以下のコーポレート5社がスタートアップ企業に対する期待を表明した。ベンチャーキャピタルのクビブ・インベスチメントス(Kviv Investimentos外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)はフィンテック分野、イスラエル系移民病院アルベルト・アインシュタイン病院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのベンチャーキャピタル部門はヘルスケア分野、紳士服大手のアラミス(ARAMIS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は小売り分野、大手建設会社テクニサ(Tecnisa外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は建設分野、女性向け金融教育サービスのフィナンサス・フェミニーナス(Finanças Femininas外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は教育分野について期待を語った。いずれも、それぞれの業界を超え、スタートアップ企業との広範な関係構築に前向きな姿勢を見せた。

第2部は、在サンパウロのイスラエル総領事、サンパウロ市イノベーション・科学技術局長、ベンチャーキャピタルのペルフォルマ・インベスチメントス(Performa Investimentos)の代表者が登壇し、ブラジルとイスラエル間でのイノベーション交流の可能性を討論した。イスラエルのスタートアップ企業は国内市場規模の制約から、設立と同時に海外展開を考えており、ブラジル市場での展開の可能性も十分あるとした。ただし、ブラジル市場では先端技術ではなくミドルレンジの技術を現地化することが適切なビジネスプランで、特にブラジルは行政手続きや税金の支払いなど非効率な公的セクターを抱えているため、効率化を目指したオープンイノベーションのニーズが大きいという。

第3部では、メルカスとクーボが支援しているスタートアップ企業によるピッチが行われた。参加企業は、金融機関・債務者向けソリューションのBLU365外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、廃棄物処理・販売仲介のB2Blue外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、50歳以上のシニア層を対象とした職業紹介サービスのマツリジョブス(MaturiJobs外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、マーケットインテリジェンス、ビッグデータ解析のフロウセンス(Flowsense外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、小売業者向けモバイルプラットフォームのディナショッパー(dnashopper外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、起業家向けマイクロクレジットのフィルガン(Firgun外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の6社だった。中でもマツリジョブス(MaturiJobs)は、議会で議論されている社会保障制度改革が実現すれば、年金受給開始年齢が引き上げられるため、同社サービスの市場拡大の余地は大きいとしている。

(二宮康史)

(ブラジル)

ビジネス短信 11345e03bd4738c7