上海市が社会保険納付基準額を9.8%引き上げ、賃上げラインも公表

(中国)

上海発

2019年04月03日

上海市人力資源・社会保障局は3月29日、2019年度(2019年4月~2020年3月)の社会保険納付基準額を公表した(表参照)。納付基準額の下限額は前年度比420元増の4,699元(約7万9,883円、1元=約17円)、上限額は2,100元増の2万3,496元に改定され、いずれも9.8%引き上げられた。上昇率は、2017年から3年連続で9%台を維持した。

表 上海市の社会保険納付基準額

個人の納付基準額は本人の前年の実収入の月平均額となるが、月平均額が下限額を下回った場合は下限額、上限額を超えた場合は上限額がそれぞれの納付基準となる。下限額と上限額は、それぞれ上海市の前年度の従業員平均賃金の6割と、3倍の額に設定されている。

社会保険に含まれている養老保険、医療保険、失業保険、生育保険、労災保険の納付基準額も調整されるほか、例年7月1日から調整される住宅積立金も2019年度から社会保険に合わせる。加入者の社会保険負担額は、納付基準額に保険料率を掛けて算出される。

賃上げガイドラインは前年度より低下

一方、労働組合に当たる上海市総工会は3月27日、業界団体の市企業聯合会・企業家協会、市工商業聯合会と共同で、2019年度の賃上げガイドラインを公表した。ガイドラインでは基準値を5~6%、下限値を2~3%とし、前年度の基準値(8%)と下限値(3%)より最大3ポイント低下した。なお、賃上げガイドラインは、労使交渉で重要な参考指標として利用されているが、法的拘束力はない。

健全な経営で業績が好調な企業は基準値を参考に実際の賃上げ率を設定し、前年度の従業員平均賃金が市平均の2倍以上の企業であれば基準値以下、市平均の60%以下であれば基準値を若干上回っても妥当とされる。一方、業績不振な企業は下限を参考に実際の賃上げ率を設定するのが望ましいが、経営困難で業績が悪化する企業であれば下限を下回っても構わないとされている。

(劉元森)

(中国)

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