シカゴで自動化展示会、協働ロボットと自律移動ロボットに注目

(米国)

シカゴ発

2019年04月26日

シカゴ市にある展示会場マコーミック・プレイスで4月8~11日、自動化に焦点を当てた北米最大級の展示会「AUTOMATE2019」と「PROMAT2019」が併催された。2年に1度開催されてきたもので、今回の総来場者数は4万5,000人以上と過去最高を記録した。

AUTOMATEは、産業用ロボットをはじめとする製造現場の自動化技術の展示会だ。来場者が足を止めていたのは、安全柵なしで人と一緒に作業する協働ロボット(以下、コ・ロボット)だ。デンマークのユニバーサル・ロボッツや、ファナック(山梨県)、安川電機(福岡県)、KUKA(ドイツ)、ABB(スイス)といった主要な産業用ロボットメーカーが自社のコ・ロボットを売り込んでいた。製品の低価格化や小型化、動作プログラム作成の簡略化などが進展し、コ・ロボット市場は今後、年平均成長率50%超で発展するとみられる。中小・中堅企業を中心に需要が増えていく見込みだ。

PROMATは、製造や流通の現場におけるマテリアルハンドリング技術の展示会だ。eコマースの普及により、物流倉庫の入出庫・発送業務の自動化が加速しており、マテリアルハンドリング技術への需要も高まる中、会場もにぎわいをみせていた。展示会場では、トヨタ マテリアル ハンドリング グループが世界トップシェアのフォークリフト、物流ソリューションを展開し、圧倒的な存在感を放っていた。また、最新トレンドとして注目を集めていたのは、自律移動ロボット(Autonomous Mobile Robot:AMR、注)を展示するベンチャー企業だ。インド発のグレイオレンジ(シンガポール)、モバイル・インダストリアル・ロボッツ(デンマーク)、フェッチロボティクス(米国)などがあった。

デロイトおよび製造協会の報告書によると、製造業では、2028年までに240万人以上の雇用が不足すると予想される。製造業界や物流業界では、深刻な人手不足の課題解決や競争力維持のための自動化への取り組みが急務となっている。産業の自動化が進み、革新的な技術改良が行われたことで、ロボット市場は世界的に好調だ。国際ロボット連盟(IFR)によると、米国の産業用ロボット販売台数は、2017年に3万3,192台に達し、2021年には4万6,000台になると予想される。また、これまで市場を牽引してきた自動車産業以外の食品や化学品産業にも自動化の波が広がっている。

写真 AUTOMATEで多数の日系産業用ロボットメーカー(三菱電機、ファナック、川崎重工業、安川電機など)が出展(ジェトロ撮影)

AUTOMATEで多数の日系産業用ロボットメーカー(三菱電機、ファナック、川崎重工業、安川電機など)が出展(ジェトロ撮影)

写真 PROMATの目立つ場所で圧倒的な存在感を示すトヨタ マテリアル ハンドリング グループ(ジェトロ撮影)

PROMATの目立つ場所で圧倒的な存在感を示すトヨタ マテリアル ハンドリング グループ(ジェトロ撮影)

(注)AMRは、磁気ガイドなどで決められたルートを走行する従来の無人搬送ロボットとは異なり、多数のセンサーを用いて自分の位置と障害物の確認を行うことで、物流倉庫内を自由に動き回ることができる。従業員の棚卸や在庫管理の支援など、多方面での活用が期待される。

(小川ゆめ子)

(米国)

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