三菱電機、アンリ・コアンダ国際空港向けの気象ドップラーライダーを受注

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年04月15日

三菱電機は4月4日、ルーマニア航空局(Romatsa:ロマッツァ)から、ブカレスト近郊にあるアンリ・コアンダ国際空港向けの「空港気象ドップラーライダー」を受注したと発表した。同社プレスリリースによると、欧州ではフランス・ニースのコート・ダジュール国際空港に次いで2基目、全世界では日本を含めて10基目の受注となる。

一般的に用いられる気象観測装置には、気象ライダーと気象レーダーの2種類がある。前者は、晴天時の空気中の塵(ちり)や微粒子をパルスレーザー(等間隔で点滅を繰り返すレーザー)で捉えて気流を観測する装置のことを指す。一方、後者は、雨天時の雨粒や雲を電波によって観測するもので、気流を正確に観測するためには、天候によってライダーとレーダーを使い分ける必要がある。この意味で、両者は表裏一体の関係にあるが、今回、同社がライダーを新規受注したことは、今後ルーマニアで老朽化した気象レーダーの更新が必要とされる中、大きな足掛かりとなるものだ。

なお、気象レーダーの近代化に関して、ジェトロは2017年度に、同社を「インフラシステム輸出促進・日本型都市開発など普及のための専門家派遣・招聘(しょうへい)事業」で採択し、支援してきた経緯がある。同事業でジェトロは、三菱電機および日本気象協会の専門家らと共に、ルーマニアの関係省庁に対し、気象レーダーの近代化の必要性および日本製品の優位性に関する説明を重ねてきた。ルーマニアでは現在、国立気象局(NMA)が全国各地で7基の気象レーダーを運用しているものの、そのうち幾つかは受信機がアナログ式の古いモデルだ。これらの古い気象レーダーについては、速やかな更新が求められているが、グラツィエラ・レオカディア・ガブリレスク副首相兼環境相は、EU基金による公共調達実施に前向きな意向を示している。気象レーダーは、今後まずはブカレストにある1基の更新が試験的に実施される可能性が高く、引き続き日系企業の参入が期待される。

(水野桂輔)

(ルーマニア)

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