米大統領、タンク車によるLNGの鉄道輸送を認めるよう運輸省に指示

(米国)

シカゴ発

2019年04月24日

トランプ大統領は4月10日に、米国内における液化天然ガス(LNG)のタンク車輸送を可能とする新規則の制定に係る大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。米国内においては、タンクローリーによるLNGの陸上輸送は認められているものの、タンク車によるLNGの鉄道輸送は運輸省の規制により認められていない。今回の大統領令には、カナダでは既に許可されている超低温液体輸送用のタンク車によるLNG輸送を可能にすることで、米国産LNGの北東部ニューイングランド地方などへの販売機会を拡大する狙いがある。イレーン・チャオ運輸長官は、大統領令後100日以内に規則の改定案を提案し、13カ月以内に規則の改定を終了するよう求められている。

米国は以前から世界最大の天然ガス消費国だが、シェール革命の影響による増産が継続しており、2017年以降は天然ガスの純輸出国に転じ、2018年は約2,260万トンのLNGが海外に輸出された。今後数年間で米国産LNGの供給量が急速に増加していくことが見込まれている一方で、ニューイングランドでは、「ジョーンズ・アクト」と呼ばれる商船法(注)によりLNGの海上輸送ができず、また、パイプラインによる輸送能力の制約もあり、米国産LNGの十分な確保が難しく、主に厳冬期の暖房需要用に海外からLNGを購入している。2019年1月には、米国天然ガス指標価格(ヘンリー・ハブ)が100万BTU(英国熱量単位)当たり約3ドルだったところ、同10ドルを支払って約24万トンのLNGを同地域に輸入している。

(注)1920年商船法のこと。米国内の地点間の物品の輸送を行う船舶について、米国船籍、米国人配乗、米国人所有、米国建造でなければならないと定めているが、LNG運搬船は現在、米国内では建造されていない。

(上村真、ピン・チー)

(米国)

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