2018年の世界物品貿易量の伸びは3.0%に減速
(世界)
国際経済課
2019年04月05日
WTOの4月2日の発表によると、2018年の世界の物品貿易量は前年比3.0%増となり、2018年9月に予測した3.9%増を下回る結果となった(表1参照)。世界の物品貿易量は2017年に前年比4.6%まで回復したものの、2018年は幅広い種類の財に対する関税賦課やその報復措置、世界経済の鈍化を背景に第4四半期の落ち込みが顕著となり、成長にブレーキがかかった。また2018年を通じて、欧州では輸出停滞と輸入減少が、アジアでは経済の成長が緩やかになったことも世界貿易の減速につながった。
金額ベースでみた2018年の世界の物品貿易は、輸出が前年比9.8%増の19兆4,750億ドル、輸入が10.1%増の19兆8,660億ドルとなった(表2参照)。輸出・輸入ともに2016年から上位3カ国に変動はなく、輸出は1位が中国、2位が米国、3位がドイツ、輸入は1位が米国、2位が中国、3位がドイツとなった。
また、サービス貿易については、2018年の輸出額が前年比7.7%増の5兆8,000億ドルとなった。輸送サービスの輸出額は伸びが減速した一方、財関連サービスの輸出額は10.6%増と力強い伸びを示した。
WTOの予測によると、2019年の世界の物品貿易量の伸びは、貿易摩擦や経済の不確実性の高まりを背景に、2018年の3.0%から2.6%に減速する見通しだ。今後の世界貿易に関する指標も低下しており、世界の輸出注文に関する購買担当者指数(PMI)は2019年2月に49.1と、受注の増減なしを示す50を下回った。WTOは2020年の世界貿易の成長率が3.0%に回復すると見込むものの、貿易摩擦の影響によっては成長が鈍ると指摘している。
(柏瀬あすか)
(世界)
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