2018年の外国人来訪客数、3年連続で過去最高を更新

(シンガポール)

シンガポール発

2019年03月04日

シンガポール観光庁(STB)の発表(2月13日)によると、2018年のシンガポールへの外国人来訪客数(観光・ビジネス目的を含む)は前年比6.2%増の1,850万6,619人となり、3年連続で過去最高を更新した(図1参照)。

図1 外国人来訪者数の推移

観光客数の増加は、2018年6月にシンガポールで開催された米朝首脳会談や、同国を舞台としたハリウッド映画「クレイジー・リッチ・アジアンズ」のヒットなどが要因とみられる。STBのキース・タン長官は同日の記者会見で、「米国では、首脳会談前日に『シンガポールはどこ』との検索が200万を超えた」と、同国が世界的に注目を浴びた事例を紹介した。同長官は「首脳会談やその他主要イベントが開催されたことで、シンガポールの市場価値を大きく高めた」と強調した。また、STBによると、前述の映画の上映期間中、米国でのシンガポールに関する検索数は通常の3倍以上増加したと述べた(「ストレーツ・タイムズ」紙2月13日)。

来訪客数を国別にみると、トップの中国は341万6,475人で前年比5.8%増だった。2位のインドネシアは302万1,429人(2.3%増)、3位のインドは144万2,242人(13.4%増)となった。日本は、82万9,664人で4.6%増加し、6位だった。また、インドのほか、米国(13.8%増)、英国(13.5%増)、ベトナム(11.3%増)が2桁増と急増した。

観光収入は伸び悩む

外国人観光客数の増加の伸びと比べると、観光収入は伸び悩んだ。2018年の観光収入(速報値)は前年比1.0%増の271億シンガポール・ドル(約2兆2,493億円、Sドル、1Sドル=約83円)と過去最高を更新するも、2017年の3.9%増から増加幅が縮小した。また、2018年1~9月の観光収入(改定値)を分野別にみると、観光・エンターテインメント・ゲーム(注)は前年同期比6.1%増だったものの、買い物、宿泊、飲食はそれぞれ14.2%減、5.5%減、4.4%減と縮小した(図2参照)。STBはマイナス成長だった3部門について、土産への支出が減少しているほか、シンガポールへの日帰り来訪客や一度の旅行で複数国を旅行する周遊旅行者の増加により、短期滞在者が増加しているため、と説明した。

図2 観光収入(2018年1~9月)の内訳

(注)観光アトラクション、ナイトスポット、ツアーへの支出やカジノ統合リゾート(IR)での支出を含む。

(源卓也)

(シンガポール)

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