タイ総選挙、プラユット首相続投の可能性が高まる

(タイ)

バンコク発

2019年03月26日

タイでは3月24日、約8年ぶりに下院総選挙(小選挙区350議席、比例代表150議席の計500議席)が実施され、即日開票された。タイの公共放送PBSが集計した選挙結果(94%開票時点)によれば、タイ貢献党が135議席を獲得して、第1党となり、次いで、国民国家の力党が119議席、新未来党87議席、民主党が55議席を獲得することが明らかになった。

表 下院総選挙の結果(党派別)

国民国家の力党は、現軍事政権を支持する政党で、プラユット首相を首相候補に担いで選挙戦に臨んだ。憲法の規定では、首相を指名するには上院(250議席)と下院を合計した750議席の半数(375議席)を超える必要があるが、今回の総選挙では、軍事政権が全て指名する上院議員250人と合わせて過半数を超える見通しとなっており、プラユット首相続投の可能性が高まっている。

一方、タイ貢献党はいわゆるタクシン派で、軍事政権打倒を掲げ、地盤の東北部や北部で順調に小選挙区の議席を獲得したものの、現時点では比例代表で伸びていない。ただし、同じく反軍政を掲げた新未来党が議席を大幅に伸ばしたことから、下院の多数派工作が激しさを増すものとみられ、52議席を獲得したタイ誇り党やその他中小政党がキャスティングボードを握る展開も予想される。

そのような中、反タクシン派の中心だった民主党は、地盤のバンコクや南部で議席が伸びず惨敗した。

選挙管理委員会は、3月29日に非公式の選挙結果を発表した後、最終的な選挙結果は5月9日までに公表する予定だ。

(阿部桂三)

(タイ)

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