2018年の貿易総額は1兆8,758億リンギ、2012年来で最高

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年03月01日

マレーシア統計局の発表(1月30日)によると、2018年の貿易総額は前年比5.9%増の1兆8,758億リンギ(約50兆6,500億円、1リンギ=約27円)だった(表1参照)。輸出は前年比6.7%増の9,980億リンギ、輸入は4.9%増の8,777億リンギだった。貿易黒字は22.1%増の1,203億リンギで、1998年から21年連続の黒字を達成した。貿易総額、貿易黒字はともに、2012年以来の最高値を記録した。

表1 貿易動向

中国への輸出額が首位シンガポールに迫る

主要輸出品目をみると、全体の38.2%を占める電気・電子製品は前年比11.0%増の3,808億リンギだった(表2参照)。そのうち45.3%を占める集積回路は1,726億リンギで34.7%増加した。マレーシア貿易開発公社(MATRADE)によると、電気・電子製品の輸出が好調な要因として、技術発展により半導体の用途が広がり、需要が伸びたことを挙げた。上位5品目の中では、パーム油・同製品、液化天然ガス(LNG)が前年から減少したが、石油製品、原油は好調であり、上位5品目で輸出総額の59.2%を占めた。

表2 主要貿易品目(上位5品目)

輸出を国・地域別にみると、首位はシンガポールで、電気・電子製品や石油関連製品の増加により前年比2.6%増の1,391億リンギだった(表3参照)。2位の中国は化学製品、電気・電子製品、LNGを中心に10.3%増の1,389億リンギで、首位シンガポールに迫る勢いだ。そのほか、香港向けが746億リンギで、56.3%増と躍進し、その8割を電気・電子製品が占める。日本向けは、約3割を占めるLNGが前年比17.1%減と振るわず、全体では8.6%減の691億リンギで、輸出相手国としては4位から5位に後退した。

表3 主要貿易相手国(上位5カ国)

中国からの輸入が10年連続首位

輸入を品目別にみると、輸出と同じく電気・電子製品が牽引し、前年比3.5%増の2,616億リンギと微増した。国・地域別では、輸入全体の約2割を占める中国は、集積回路、スマートフォンが好調で、前年比6.4%増の1,749億リンギと10年連続で最大の輸入相手国となった。対日輸入は635億リンギで0.2%減とほぼ横ばいだったが、上位品目である電気・電子製品(シェア26.1%)、一般機械(14.4%)がそれぞれ4.0%減、16.8%減と低迷した。

図 輸出の増減率(前年同期比)と国・地域別寄与度の推移

2019年の貿易の見通しについて、MATRADEのダト・ワン・ラティフ長官は、貿易総額、輸出入額ともに前年比5.0%程度の増加を見込む。他方、マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所は、物価上昇や米中貿易摩擦による世界経済の失速などにより、2019年の輸出を前年比3.6%増と予測しており、政府と比べて楽観視できないとの見方を示している(「ザ・エッジ」紙1月30日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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