イラクの2019年予算が成立、過去最大規模に

(イラク)

ドバイ発

2019年03月12日

イラク国会が1月23日に年をまたいで議論となっていた2019年予算を議決したのを受け、翌月2月4日、バルハム・サーレハ大統領が署名し、正式承認された。予算額は前年比27%増の1,118億ドルで、サダム・フセイン政権時代を含めた過去最大規模の予算編成となった。

AP通信などによると、予算の約半分は公務員給与となっており、国内過激派組織との戦闘に従事するも支給が滞っていたシーア派民兵組織・人民動員軍(PMU)、クルディスタン地域政府(KRG)陸軍ペシュメルガへの支給も含む。KRGからは、イラク中央政府間との関係改善の一歩として歓迎する姿勢が示されているものの、喫緊の課題となっている生活インフラ整備や困窮する地方への配分が不十分、といった批判が各方面から噴出している。

2018年10月に発足したアブドル・マハディ政権は、発足後5カ月目の現在でも一部の閣僚が未選出のままだ。イラク政府の主要ポストは、慣習的に宗派・民族で色分けされており、「シーア派枠」の内務相、「クルド枠」の防衛相、「スンニ派枠」の法相をめぐり、各グループ内で統一候補が絞り込めない状況となっており、国内政治の難しいかじ取りが続いている。

(田辺直紀、オマール・アル=シャメリ)

(イラク)

ビジネス短信 e0f2673c60795eef