深セン市に高度人材とデジタル人材が集中

(香港、中国、マカオ)

香港発

2019年03月06日

中国清華大学経営管理学院と世界最大のビジネス特化型SNSを運営するリンクドイン(LinkedIn)は2月23日、「広東・香港・マカオグレートベイエリア(粵港澳大湾区)」(以下、ベイエリア)の人材状況に関する調査報告書「広東・香港・マカオグレートベイエリア デジタルエコノミー・人材発展研究報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(以下、報告)を発表した。報告から、ベイエリア内では深セン市に高度人材およびデジタル人材(注1)が集中している状況が分かる。

高度人材およびデジタル人材の都市別(注2)分布をみると、深セン市、広州市、香港に集中していることが分かる。中でも、深セン市にはデジタル人材が集中している(図1参照)。

図1 ベイエリアにおける高度人材とデジタル人材の都市別分布

中国国内からのベイエリア各都市への高度人材およびデジタル人材の流動状況をみると、最も流入しているのは深セン市で、他都市を大きく引き離している(図2参照)。深セン市以外では、広州市、香港、恵州市、珠海市で2種類の関連人材の流入が流出を上回っている。

図2 ベイエリアにおける高度人材とデジタル人材の都市別流動状況 (中国国内からの流入/中国国内への流出比)

ベイエリア内での流出入に限定してみると、深セン市が他都市に比べて圧倒的に吸引力があることが分かる(図3参照)。深セン市以外の他都市は、高度人材、デジタル人材とも流出状態にあり、中でも広州市は最も流出が多くなっている。

図3 ベイエリアにおける高度人材とデジタル人材の都市別流動状況 (ベイエリア内他都市からの流入/ベイエリア内他都市への流出比)

香港には海外から多くの人材が流入

深セン市の高度人材とデジタル人材は、主にベイエリア内を含めた中国国内から集まっていることが分かる。一方、香港は海外からの人材が全体の8割強を占めている(図4参照)。イノベーション企業およびスタートアップの集積地として注目され、イノベーション推進を計画する深セン市と香港だが、それを担う人材のバックグラウンドには大きな違いがある。

図4 香港、深セン市の人材流入元

(注1)本報告書内では、高度人材は大学卒業以上の学歴を有する人材、デジタル人材は情報通信技術(ICT)専門技能(プログラミング、ビッグデータ分析など、製品・サービスの開発に必要な技能)およびICT補足技能(情報処理などの特定技能や関連コンサル技能)を有する人材を指す。

(注2)ベイエリアは、広東省9都市(広州市、深セン市、恵州市、東莞市、仏山市、中山市、江門市、肇慶市)、香港、マカオからなるが、中山市、江門市、肇慶市はデータが限定的なため、比較対象に入っていない。

(渕田裕介)

(香港、中国、マカオ)

ビジネス短信 c37dacb52cde3895