2018年のGDP成長率は1.1%、前年と同率

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年03月05日

ブラジル地理統計院(IBGE)は2月28日、2018年通年のGDP成長率を1.1%と発表した。2017年の成長率と同率となった(表参照)。2018年3月時点のブラジル中央銀行の「インフレレポート」では、2018年のGDP成長率を2.6%と予測しており、その数値を大きく下回る結果となった。要因として、5月のトラック輸送業者スト、主要な輸出相手国アルゼンチンの通貨下落と景気低迷、10月のブラジル大統領選挙に伴う先行き不透明感などが挙げられる。

表 四半期別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

産業分野別に2018年のGDPをみると、農畜産業が前年比0.1%増、工業が0.6%増、サービス業が1.3%増だった。農畜産業は2017年に12.5%と記録的な高成長をしていたことも影響し、わずかな伸びにとどまった。IBGEによると、農作物の中でもコーヒー、綿花、小麦、大豆の生産は増加した一方、トウモロコシ、オレンジ、コメ、サトウキビは減産となった。工業は2014年以降4年連続のマイナス成長から、2018年はプラスに回帰した。中でも、電気・ガス・上下水道・都市清掃が2.3%増、製造業が1.3%増となっている。製造業は特に自動車、紙・パルプ、医薬品、製鉄、機械・装置の分野が貢献したという。サービス業は全体として2017年の伸び率(0.5%)を上回ったが、2018年は特に不動産(賃貸業を含む)が3.1%増、商業が2.3%増と好調だった。

需要要素別にみると、個人消費支出が前年比1.9%増と前年の実績(1.4%)より高い結果となった。その要因についてIBGEでは、金利、インフレ率の低下、融資の増加などを挙げている。投資を表す総固定資本形成は、前年の2.5%のマイナス成長から、2018年は4.1%のプラス成長に回帰している。同項目のうち、建設分野は依然としてマイナス成長(3.4%減)だったが、資本財の輸入と国内生産の増加に支えられた。輸出の伸びは4.1%増にとどまり、輸入は8.5%増となった。

中央銀行が民間金融機関の予測を集計する調査「フォーカス」では、今後のGDP成長率について、2019年を2.5%、2020年を2.7%としている(2月22日時点、いずれも中央値)。

(二宮康史)

(ブラジル)

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