ブレグジットを前に、フランス税関のスト続く
(フランス)
パリ発
2019年03月22日
フランスでダンケルク港やカレー港を中心に、税関職員による無期限のスト(la greve du zele)が3月4日から続いている。英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う両港での通関手続きの混乱を見越し、税関職員が政府に対して、職員の増員、賃上げ、労働条件の改善などを求めて実施しているもの。フランスから英国へ渡る貨物トラックの審査・検査を「より厳格に」実施するため、ユーロトンネルの入り口へつながるカレー周辺の高速道路A16で一時は十数キロに及ぶ交通渋滞を引き起こした。
ジェラルド・ダルマナン行動・公会計相は3月12日、税関職員の労組と協議、総額1,400万ユーロの賃上げ案を提示したが、労組側はこれを不服として拒否。3月21日現在もストは続く。ストは政府と税関職員の労組との交渉に応じ、断続的に行われており、交通渋滞が常態化しているわけではないが、両者が合意に達するまでは、フランスから英国へのトラック輸送に遅延が出る可能性がある。
労組側には、ブレグジットになった際、通関の混乱による影響を目に見えるかたちで示す意向があったようだが、今回のストで税関職員がトラックを1台1台止めて行っている審査・検査は、ブレグジット後に実施される手続きではなく、また、大陸から英国に渡る貨物トラックは英国側で審査されるため、税関当局側は、今回のストで引き起こされた交通渋滞は「ブレグジットの影響を予見するものではない」としている。
ダルマナン行動・公会計相は2018年10月、ブレグジット後の税関検査の混乱を見越し、今後3年間に税関職員を700人増員するほか、カレー港ではブレグジットに対応した新たな措置として、スキャナーによる審査・検査の導入、フランス側だけでなく英国側での審査・検査の実施、デジタル化による効率強化などの方針を示していた。
税関職員のストはカレー港、ダンケルク港から、一部の空港や、ユーロスターが発着するパリ北駅の税関にも広がる。北駅ではユーロスター利用客へのセキュリティー審査を強化しているため、乗車を待つ利用客の長蛇の列ができ、列車の発着が遅れるなど混乱している。
(山崎あき)
(フランス)
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