アリババ、スマート物流の構築で宅配大手の申通快逓に出資

(中国)

上海発

2019年03月18日

中国電子商取引(EC)最大手のアリババ集団(以下、アリババ)は3月11日、宅配大手の申通快逓(STOエクスプレス)の親会社および創業者と共同で、STOエクスプレスの株式14.7%を46億6,498万元(約793億円、1元=約17円)で取得する投資協定を契約したと発表した。

STOエクスプレスは1993年に設立された民営企業で、いち早く宅配業界に進出した。2018年6月時点で、全国に設置した物流拠点や支店が約2,000カ所に上り、従業員も30万人を超えている。また同社は、海外でも大手物流会社と提携し、米国やロシア、オーストラリア、カナダ、日本、韓国など15カ国で宅配サービスを提供している。

アリババは2013年5月、大手宅配業者など8社と共同で、スマート物流の実現を目指すプラットフォーム「菜鳥網絡」を立ち上げた。菜鳥網絡は製造業者や小売業者、物流業者、倉庫業者から各種データを収集・解析し、物流ネットワークの最適化を図るスマート物流ネットワーク「中国智能骨干網(CSN)」の整備を目指す。ネットワークの構築は8~10年かかる予定だが、完成すれば、注文から消費者の手元に届くまで、中国国内なら24時間、世界各地も72時間以内で対応できるという。

アリババは、菜鳥網絡の筆頭株主で株式の43.0%を保有しているほか、2015年に園通速逓(YTOエクスプレス)、2018年に中通快逓(ZTOエクスプレス)など大手宅配業者にも相次いで出資している。いずれも出資額は数十億元で約1割の株式を取得しており、今回のSTOエクスプレスへの出資も、スマート物流ネットワークづくりの一環だとみられる。ちなみに、菜鳥網絡と提携している宅配業者は15社で、扱う荷物量は全国の約6割を占めている。

(劉元森)

(中国)

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