セネガル大統領選、現職のサル氏が再選

(セネガル)

アビジャン発

2019年03月01日

セネガル全国投票調査委員会(CNRV)は2月28日、24日に実施された大統領選挙でマッキー・サル現職大統領が再選したと発表した。

暫定集計結果によると、サル大統領の得票率が58.27%と、次点のイドリサ・セック元首相(20.50%)、ウスマン・ソンコ国会議員(15.67%)ら4人の対立候補を大きく引き離して、過半数を制したことから1回目の投票で当選が決まった。投票率は66%を超えた。

選挙活動中に、与野党支持者の間で衝突が起こり、一時緊張が高まったが、投票自体は大きな混乱もなく平和裏に実施された。野党候補は、投票プロセスにおいて不正があったと厳しく糾弾しているが、憲法評議会への申し立ては行わないとしている。一方、EUをはじめとする選挙監視団は、一部で技術的不備がみられたとしているものの、選挙は自由かつ公正に実施されたと評価している。憲法評議会は近く、選挙結果について認定を行う。

サル大統領は同日に開催した閣議で、「偉大な勝者はセネガル国民だ。セネガルは、調和の取れた持続的な経済社会発展に向け、さらなる国民融和と連帯、民主主義、平和の定着を希求していかなければならない」と宣言した。

今回の大統領選では、国民に親しまれるハリファ・サル前ダカール市長と、アブドゥラエ・ワッド前大統領の息子で閣僚を歴任したカリム・ワッド氏が、サル大統領の有力対抗馬と目されていたが、それぞれ汚職問題で有罪となり、立候補資格が否認された経緯がある。

サル大統領は、2035年までの新興国入りを目指す開発戦略を定めた「セネガル新興計画(PSE)」を導入しており、政権2期目の優先課題として、経済改革の加速、若年層の失業問題と雇用創出、農業の近代化・多角化、産業の育成、民間分野の促進などに積極的に取り組んでいくとみられる。

セネガルの経済は安定成長が続くが、一方で、国民の半数以上が貧困層とされ、貧困からの脱却が大きな課題になっている。また、国際的な問題となっている不法移出民の増加や、南部カザマンス地方の独立分離勢力との和平など、取り組むべき問題も多い。

西アフリカ諸国の中で、いち早く複数政党制を導入したセネガルは、民主化への取り組みと政治的安定で、西側諸国からの評価が高いとされている。

(渡辺久美子)

(セネガル)

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