アモイ市の2018年は7.7%成長、米中摩擦に消費喚起で対応

(中国)

広州発

2019年03月04日

アモイ市統計局の発表によると、2018年のアモイ市の域内総生産(GRP)の成長率は7.7%、GRP総額は4,791億4,100万元(8兆1,454億円、1元=約17円)だった(図参照)。成長率は前年から0.1ポイント上昇した。

産業別の成長率は第一次産業が2.6%、第二次産業が8.1%、第三次産業が7.5%だった(表参照)。

図 アモイ市のGRP成長率〔前年(同期)比〕

投資、消費、貿易がいずれも減速

項目別では、固定資産投資(農家を含まず)は前年比10.1%増(伸び率は前年より0.2ポイント低下)となった。うち、不動産開発投資は0.5%増(14.4ポイント低下)にとどまった。インフラ投資は16.8%増(2.0ポイント上昇)と伸び率が拡大した。インフラ投資は軌道交通建設、国道324号線建設などにより、交通・運輸関連が42.0%増と大幅に増加した。また、台湾のUMCによるIC製造プロジェクト、日本電気硝子による液晶用ガラス生産ラインプロジェクトなどにより、工業投資は12.0%増となった。

社会消費品小売総額は前年比6.6%増(6.1ポイント低下)の1,542億4,200万元だった。ちなみに、自動車関連商品が3.6%減、通信機材が1.5%減と減少した。

貿易額は前年比3.2%増(11.1ポイント低下)の6,002億500万元、うち輸出が2.6%増(2.6ポイント低下)の3,338億5,100万元、輸入が4.0%増(24.3ポイント低下)の2,663億5,400万元だった。アモイ市統計局は、米中貿易摩擦により貿易の伸びは鈍化しているとし、自由貿易試験区での試験的取り組みが進展している点を強調した。

一定規模以上(注)の工業企業の付加価値増加額は前年比8.8%増(0.7ポイント上昇)の1,611億3,500万元だった。

製品別の生産量では、鋼化ガラスが前年比19.3%減、アルミ材料が5.9%減、ゴムタイヤが4.0%減となるなど生産能力過剰分野の製品が減少した。

表 アモイ市の2018年の主要経済指標

市政府、消費喚起で米中貿易摩擦に対応

アモイ市統計局は2018年の経済運営の問題点として、第三次産業が過半となり構造的に高成長が難しくなっていること、米中貿易摩擦の影響が輸出の伸びの鈍化に表れていること、投資・消費の需要が弱まっていることなどを挙げた。

また、経済発展加速のための方策として、第二次産業ではハイテク産業、戦略的新興産業などを重点的に発展させるとともに、従来型工業企業のレベルアップを促進し工業の安定的発展を図ること、第三次産業では旅行などアモイ市が強みを持つサービス業を重点的に発展させること、などを挙げた。また、米中貿易摩擦の影響に対しては、国外の市場開拓を支援するとともに、自動車、家電、情報関連、サービスの消費促進を強化すべきとした。

(注)主要業務収入が2,000万元以上の卸売業、500万元以上の小売業の法人、主要業務収入が2,000万元以上の工業企業法人など。

(河野円洋)

(中国)

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