変化する自動車産業、アトランタとナッシュビルで自動車セミナー開催

(米国)

アトランタ発

2019年03月26日

米国の自動車産業を取り巻く環境は、変わりつつある。各企業は、トランプ政権による追加関税措置や北米3カ国間での北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)など、通商政策の影響を受けたサプライチェーン見直しのほか、自動運転、電気自動車(EV)、シェアリングといった産業構造変革への対応にも迫れている。そうした中、ジェトロは3月11日にジョージア州アトランタで、3月12日にテネシー州ナッシュビルで「北米自動車産業最新動向・USMCA解説セミナー」を開催した。セミナーには、南東部や中西部など11州から、当初の定員を超えて、自動車関連企業を中心とする日系企業88社を含む100団体、総勢133人が参加した。

セミナーは、両日ともに2部構成で行われた。第1部では、日本自動車部品工業会(JAPIA)北米事務所の河島哲則代表が、米国では近年、スポーツ用多目的車(SUV)およびクロスオーバーSUV(CUV)とセダンの販売の割合が3対1になっているなどの販売トレンドや、完成車メーカー各社の戦略、金利や石油価格・失業率など米国経済が自動車産業に与える影響について述べた。そのほか、CASE(C:相互通信、A:自動運転、S:シェアリング、E:電動化)に象徴される次世代自動車と新たな自動車エコシステムに対する見通し、各国の代表的なプレーヤーの動きなど、デトロイトからみた北米自動車産業の最新事情と今後の見通しについて解説した。

写真 ナッシュビルでのセミナー第1部の様子(ジェトロ撮影)

ナッシュビルでのセミナー第1部の様子(ジェトロ撮影)

第2部では、ジェトロ・メキシコ事務所の中畑貴雄次長が、メキシコの自動車産業動向の現状に加え、USMCAの合意内容、特に自動車産業に関する原産地規則の内容と、USMCAが米国の自動車サプライチェーンに与え得る影響について、具体例を交えながら助言も含めて解説した。

写真 アトランタでのセミナー第2部の様子(ジェトロ撮影)

アトランタでのセミナー第2部の様子(ジェトロ撮影)

ジェトロがセミナー参加企業に対してアンケートを行ったところ、EVの普及により影響を受けると回答した企業は参加企業の52%、自動運転では28%、と次世代自動車への対応による影響が一定程度見受けられた。米国南東部には、多数の日系自動車関連企業が進出しており、当初の定員を大幅に超えた参加者は、ビッグプレーヤーの動きや今後の見通しについて熱心に耳を傾けていた。

また、通商政策により影響を受けている、または今後影響を受ける可能性があると回答した企業は88%に上り、そのうち3割以上がサプライチェーンの見直しを検討するなど、対応を模索している。USMCAをはじめとする通商関連の最新情報を求める声も引き続き多く聞かれた。

(ラマース直子)

(米国)

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