DV被害者への有給休暇制度などを4月から導入

(ニュージーランド)

オークランド発

2019年03月26日

ドメスティック・バイオレンス(DV)被害を受けた労働者に対する職場での保護を強化することを目的とした、DV 被害者保護法が4月1日より施行される。同法によれば、DV被害者は年間で最長10日間の有給休暇が年次休暇や病気休暇、忌引休暇と別に取得可能となる。

また、DV被害を受けた従業員は、最長2カ月を上限に勤務場所、勤務時間などの就業調整を含む「フレキシブル勤務」を申請することができる。申請は書面により行われ、雇用者は10営業日以内に判断が求められる。一方、雇用者は申請受領後3営業日以内に、申請者に対して警察などが発行するDV被害を受けたとする証明書の提出を求めることができる。雇用者はフレキシブル勤務を拒否することもできるが、その場合は理由を明示する必要がある。申請者は雇用者の拒否決定が不服の場合、雇用監察官や労働仲裁機関に申し立てることができるほか、拒否決定が不合理で6カ月以内に必要と考えられる場合には、訴訟を提起することができる。

保護の対象となるDVは、就業期間以前のものも対象となり得るとされ、雇用者はDV被害を受けた従業員に対する適切な支援が、法律により求められる。また、雇用主はDVを理由に従業員を不当に取り扱ってはならないことも規定されている。

同法案を提案した緑の党のジャン・ローギー議員は、提案趣旨の説明において、有給休暇付与によりDV被害者に対して、離婚調停への出廷や引っ越し、子供の転校などの時間をつくることができるとした。

今後、進出日系企業を含む全ての企業は対応を求められることとなるが、同法の詳細は政府の雇用関連のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照のこと。

(奥貴史)

(ニュージーランド)

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