電子機器製造ハブへ、インドが新政策を発表

(インド)

アジア大洋州課

2019年03月12日

インドの電子情報技術省(MeitY)は2月25日に通達を発出し、「2019年版国家電子産業政策(NPE2019)」を打ち出した。2012年の国家電子産業政策(NPE2012)の後継として位置付けられる。

これまで政府はNPE2012で、インドを世界的な電子機器システムの設計製造(ESDM)のハブとするための基本方針を示してきた。投資促進の具体的なインセンティブとして、「修正版特別インセンティブスキーム(M-SIPS)」を導入し、電子機器関連の設備投資金額の25%を補助金として支払った。2018年末までに総額1兆1,000億ルピー(約1兆7,600億円、1ルピー=約1.6円)に相当する419件の投資を集めることに成功した。さらに、政府は「電子機器製造クラスター(EMC)スキーム」の下で、企業や州政府のインフラ投資に対し、新規投資の場合は50%、2次投資の場合は75%を政府の助成金として支給するインセンティブも加え、総額400億ルピーに迫る投資を集め、1,500ヘクタール近い土地をEMC向けに整備した。

インドで需要が急拡大する携帯電話(スマートフォンを含む)に関しては、2017年に部材などの関税を段階的に引き上げる「段階的製造プログラム(PMP)」も実施しており、携帯電話の国産台数は2014年の6,000万台から、2017年にはその4倍に迫る2億2,500万台にまで拡大した。政府は、電子機器の国産化を加速させるため、政府調達では国産化された電子機器を優先的に調達する内容の指令も、2017年に発出している。

新政策の下でのインセンティブは今後発表

今回発表されたNPE2019は、NPE2012の精神を受け継ぎつつ、2025年までに電子機器の設計製造分野のバリューチェーン全体で売上高4,000億ドルを達成する新たな目標を掲げる。NPE2019では、半導体やディスプレー製造など巨額投資が期待されるESDMの国産化や、人材育成などを推し進めるために、税の恩典や輸入関税の免除といったインセンティブやスキームの設定、次世代通信規格5Gやモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、バーチャルリアリティー(VR)、ドローン、ロボティクスなどの分野における産業界主導の研究開発やイノベーションの推進、ESDM分野における特許技術を開発・獲得するために政府特許ファンド(SPF)の設立などをうたっている。具体的なインセンティブなどは、MeitYを中心に関係省庁が協議し、後日発表されることになっている。

(西澤知史)

(インド)

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