マハーラーシュトラ州初となるバイオ燃料の精製プラント設立

(インド)

ムンバイ発

2019年03月05日

西部マハーラーシュトラ(MH)州ムンバイ近郊のナビ・ムンバイで2月13日、ホテルやレストランから出る使用済み食用油を回収し、そこからバイオ燃料を精製するプラントの開所式が行われた。環境ビジネスを専門とするオーストリア企業ミュンツァーと現地企業の合弁企業(JV)が設立したもので、同種のプラントとしてはMH州で初となる(「タイムズ・オブ・インディア」紙2月14日)。開所式にはプラダーン石油相がデリーからテレビ中継で参加し、環境と健康の問題解決につながるとして高く評価した。

ミュンツァーのウェブサイトによると、2016年に現地JVを設立し、2017年から廃食用油の回収をMH州で開始した。この事業のポイントとして、廃油をそのまま下水へ流すことで生じる環境汚染の防止、食用油、特に揚げ物油の繰り返しの利用による健康被害の防止、資源の再利用による経済的なメリットを挙げている。

写真 インドでよく見られる揚げ物の露店(左)、繰り返し使用されて汚れた油(右)(ジェトロ撮影)

インドでよく見られる揚げ物の露店(左)、繰り返し使用されて汚れた油(右)(ジェトロ撮影)

インドでは、長引く原油高や環境への配慮などから、バイオ燃料事業への関心が高まっている。

インド政府は、MH州で2018年10月に開催された化学系展示会「India Chem 2018」(2018年10月22日記事参照)でガドカリ道路交通相がバイオ燃料の活用を強く訴えるなど、バイオ燃料の導入を推進している。また、国営石油大手のバーラト・ペトロリアムが北東部アッサム州と東部オディシャ州でのバイオ燃料プラントの建設を明らかにしており、インド石油公社も代替燃料の生産増を目的に大規模な投資計画を発表している。

民間でも、インド西部と南部でマクドナルドを展開するハードキャッスル・レストランツが店舗で出た廃油からバイオ燃料を精製し、同社が使用する保冷車の燃料として利用する、と2018年7月に発表していた。

(比佐建二郎)

(インド)

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