トヨタ、米国で新たに7億5,000万ドルの投資を発表

(米国)

ニューヨーク発

2019年03月22日

トヨタ自動車は3月14日、電動化車両を含めた生産能力強化のため、米国内で新たに7億5,000万ドルの投資を行うと発表した。また、今回の発表やアラバマ州で2021年稼働予定の工場新設などに伴い、2022年までの累積新規投資額について、トランプ政権発足直後の2017年1月に発表していた100億ドルから、約130億ドルに上方修正した。

新たな投資額には、ケンタッキー工場でのレクサスのセダン「ES」のハイブリッド車(5月生産開始)と、クロスオーバーSUV(スポーツ用多目的車)「RAV4」のハイブリッド車(2020年1月生産開始)のそれぞれ年間1万2,000台、10万台の新規生産に加え、アラバマ工場でのエンジンと、ウェストバージニア工場でのハイブリッド車用動力機構の生産能力の増強分が含まれる。こうした事業の拡張に伴い、約600人の新規雇用が予定されている。

今回の追加投資に関し、トヨタ・モーター・ノース・アメリカのクリストファー・レイノルズ総務・人事本部副本部長は、市場の要請であり政治的な決定ではないとしながらも、「こうした一連の行動で、われわれが米国における経済の安全保障にとってプラスの要因であると示したい」と発言している(オートモーティブニュース3月14日)。また、豊田章男社長は3月14日に開催されたワシントンDCエコノミッククラブでの会合で、「なぜ輸入が安全保障上の脅威だと捉えられるのか分からない。しかし1つ言えるのは、いかなる状況下でも、われわれが米国を去ることはないということだ」と述べた。トランプ政権内では現在、商務省が2月17日に提出した通商拡大法232条の調査結果を基に、自動車と同部品が米国の安全保障に影響を与えるか否かの議論が続いている。安全保障上の脅威だと認められた場合は、5月18日までに輸入是正措置の内容や期間などが決定され、6月2日までに対応措置が実施されることとなる(注)。

ゼネラルモーターズ(GM)の工場閉鎖やフォードの人員削減などが報じられる中での今回の発表に対し、トランプ大統領はツイッターで、「おめでとうトヨタ!米国の自動車業界の従業員にとってビッグニュースだ」と賛辞を述べた。

(注)ただし、輸入制限の交渉が行われる場合は、180日以内に相手国との合意を成立させる必要がある。

(大原典子)

(米国)

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