EU首脳会議、対中国関係の均衡回復について協議

(EU、中国、イタリア)

ブリュッセル発

2019年03月25日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は3月22日、ブリュッセルで前日から開催されていた欧州理事会での協議を総括した。その中で、4月9日に開催予定のEU・中国首脳会談に向けて「公正な競争条件・対等の市場アクセスを確保できるバランスの取れた対中関係の実現」が目標だと語った。

次回EU・中国首脳会談での協議方針示す

EUは3月12日、対中関係を見直す10項目の行動計画(2019年3月13日記事参照)の策定を発表しているが、この中でも、関係均衡や互恵的経済関係の実現のため、WTO改革への中国の協力を求めている。特にEUは、不正な国家補助や技術移転強制の動きを問題視し、WTOを活用した解決を目指している。

また、トゥスク常任議長は「EUとして技術盗用の問題やサイバーセキュリティーに関する脅威を対処する体制を強化すべき」と指摘。第5世代移動体通信規格(5G)ネットワーク事業への中国企業の参画の是非が課題となっている問題についても、欧州委員会の安全保障の観点に基づく、勧告に期待していると述べた。

なお、欧州議会は3月12日付の「EUサイバーセキュリティー法案」採択に関わる声明で、中国を名指しして、情報通信分野での脅威に対抗する姿勢を打ち出している。

こうした中、EU側の加盟国レベルでは、イタリアのジュゼッペ・コンテ首相が中国の習近平国家主席と3月23日に会談し、中国「一帯一路」構想の構築を推進するための覚書締結に応ずるなど、対中姿勢にばらつきが見られる。

(前田篤穂)

(EU、中国、イタリア)

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