牛肉を中心に輸出が拡大する食肉産業、メキシコ市で式典

(メキシコ)

メキシコ発

2019年03月26日

ビクトル・ビジャロボス農業・地方発展相は、「メキシコ国家畜産業の日」に際し3月6日にメキシコ市で開催された同省主催の式典で、小・中規模事業者に向けた支援政策について説明した。

同相は、食の安全保障の観点から、同産業の安定的な発展を推し進めるためには、畜産業者の大部分を占める小規模事業者への支援政策が欠かせないとし、資金貸付プログラム(Crédito Ganadero a la Palabra)などについて説明した(「レフォルマ」紙3月8日)。同資金貸付プログラムは、小規模事業者の生産量増大を目的に2月22日に政府から発表されたもので、畜舎のインフラ整備費用として、個人事業主の場合は10万ペソ(約57万円、1ペソ=約5.7円)、法人の場合は50万ペソまで無利子で貸し付けを受けることができる。

メキシコの牛肉輸出量は前年比8.19%の増加に

政府が畜産業の発展を推進する背景には、メキシコの食肉輸出額の大幅な増加がある。国立統計地理情報院(INEGI)によると、2018年の食肉輸出額は前年比7.91%増の18億8,345万ドルと大きく伸びた。特に、牛肉(生鮮または冷蔵)が8.19%増加し、輸出額は10億7,291万ドルとなった。牛肉の輸出は重量ベースでも伸びており、2018年は4.75%増加し、18万866トンだった。また、豚肉の輸出も好調に推移しており、2018年は金額ベースで1.68%伸び、輸出額は5億3,645万ドルとなった。そのうち、日本への輸出が78.2%を占め、輸出量は9万8,102トンに上る。

輸出量だけでなく、国内における食肉の消費量も伸びている。メキシコ畜産業会議所(Consejo Mexicano de la Carne)によると、2018年のメキシコ人1人当たりの年間食肉消費量は65キロとなり、前年に比べ3.7%も伸びている(「エル・エコノミスタ」紙2月26日)。

CPTPP発効を契機にさらなる輸出増への期待がふくらむ

2018年12月30日に発効した「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」を契機に、アジア市場への食肉の輸出拡大も期待されている。メキシコ国際産業連盟(COMCE)アジア・オセアニア委員長のセルヒオ・レイ・ロペス氏は、2004年に日本への食肉輸出を開始し、日本に現地法人を設立したスカルネ(SuKarne)について、「確実に未来の有望な市場を取り込んでいる。CPTPPによって開かれる新たなアジア市場について、個々の国々の状況を考慮しながら戦略的に進出することが重要だ」と強調した(「オポタイムス」電子版1月24日)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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