ノー・ディールは「カオス」、欧州産業界が声明で警鐘

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年03月12日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は3月11日、英国の合意なきEU離脱(ノー・ディール)について、欧州産業界のサプライチェーンを寸断する、回避すべき事態、とする声明を明らかにした。同声明は、ビジネスヨーロッパのほか、欧州商工会議所や欧州自動車工業会(ACEA)、欧州化学工業連盟(Cefic)など欧州産業界を代表する13の産業団体の総意として発表されている。

ブレグジットに伴う先行き不透明性から中小企業は既に資金繰りに苦慮

ビジネスヨーロッパを含む欧州13産業団体はノー・ディールについて、EU・英国双方の産業界および市民に「破滅的な結果」を招くと指摘、EU・英国双方のサプライチェーンが緊密に絡み合う現状を踏まえて、ノー・ディールとなれば、双方の産業界が「カオス(混乱状態)」に直面する、と警鐘を鳴らしている。

欧州産業界は、通関手続きの停滞や、食品や医薬品を含む物品の供給の断絶が、産業界や政府機関に深刻なコストや負荷を生じさせる事態への懸念を指摘。また、多くの分野において、企業は英国のEU離脱(ブレグジット)以降、どのような貿易条件でビジネスを運営すべきか、認識が十分できておらず、こうした(ビジネス環境の)不透明性の結果、欧州の中小企業は既に資金繰りに苦慮している、との現状認識を明らかにしている。

こうした厳しい認識の下、欧州産業界は、喫緊の課題としてEU・英国の双方に対して「離脱協定」と(同協定の下で認められる)「移行期間」の保証を訴えている。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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