ボルソナーロ大統領、チリと連携強化の共同声明

(ブラジル、チリ)

サンパウロ発

2019年03月26日

ブラジルのボルソナーロ大統領は、3月21~23日の日程でチリを訪問した。今回の訪問では、南米統合首脳会合への参加や、チリのピニェラ大統領との首脳会談が主なイベントだった。

3月23日に開催されたピニェラ大統領との首脳会談では、メルコスールと太平洋同盟のさらなる対話の深化、緊密化、双方の加盟国の経済統合の深化、ブラジル中西部とチリ北部の港をつなぐ回廊建設の再確認、ベネズエラの民主主義再興に向けた協力、ブラジルのOECD加盟に対するチリによる支持、といった項目が共同声明に盛り込まれた。共同声明と同時に発表された両国による作業計画では、2018年11月に署名された、メルコスール・チリ経済補完協定(ACE)35号の第64追加議定書に関して、2019年中に双方の議会で承認得ることなどが触れられた。

ボルソナーロ大統領のチリ訪問は、1月のダボス会議(スイス)、3月の訪米に次ぐ外国訪問となった。ブラジルにとってチリは、南米でアルゼンチンに次ぐ通商相手国であることに加え、南米でいち早く経済自由化を進めてきた点でも、ボルソナーロ政権の戦略的パートナーと目されている。ブラジル経済省の統計で2018年輸出額における国別割合をみると、アルゼンチンが6.2%と2013年の8.1%から低下している一方、チリは2018年に2.7%と2013年の1.9%から上昇している。アルゼンチンのシェア低下は、同国の経済危機の影響が大きい。

3月22日に開催された南米統合首脳会合では、南米統合を進めるための新たな対話、協力の場としてPROSURという枠組みの設立で合意した。枠組みの参加要件として、民主主義および憲法の完全な実効、国家権力の分権原則の尊重、人権保護などをうたっており、実質的にベネズエラのマドゥロ政権に反対する立場の南米各国の集まりとなっている(注)。発足最初の12カ月間はチリが議長国を務め、次にパラグアイに引き継ぐ予定だ。

(注)南米諸国の統合を推進する地域枠組みとしてはこれまで南米諸国連合(UNASUR)があったが、実質的にこれを代替する枠組みと捉えられている。今回の宣言に署名した国は、ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、パラグアイ、ガイアナの8カ国。UNASURの加盟国で宣言に参加していない国は、ベネズエラ、ボリビア、ウルグアイ、スリナムの4カ国。

(二宮康史)

(ブラジル、チリ)

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