2018年のGDP成長率はマイナス2.5%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年03月29日

アルゼンチンの国家統計センサス局(INDEC)は3月21日、2018年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前年同期比6.2%減、前期比1.2%減、2018年通年のGDP成長率は2.5%減になったと発表した。政府作成の2019年予算書における2018年予測値(2.4%減)と大きなずれは生じなかった。マイナス成長は2016年以来2年ぶりとなる。

2018年の産業分野別GDPをみると、生産部門では、農業・牧畜・狩猟・林業(前年比15.1%減)と製造業(4.8%減)の減退が目を引く(表参照)。農業は、歴史的な干ばつの影響によって主要輸出品目である大豆の生産量が激減し、第2四半期(4~6月)は31.1%減と落ち込んだ。サービス部門では、商業(大手・零細)・修理(4.5%減)と、輸送・倉庫・通信(2.9%減)の落ち込みが目立った。

表 四半期別の実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

需要要素別にみると、機械設備などへの投資を表す総固定資本形成が5.8%減と大きく落ち込んだ。INDECによると、同項目のうち輸送用機械(前年比23.8%減)と機械・装置(6.9%減)が大幅に減少した。現地紙「ラ・ナシオン」(3月22日)によると、ペソ安により上昇した輸入価格を販売価格に転嫁したことが背景にある。財・サービスの輸入は通年で5.1%減となった。また、国庫補助金の削減による公共サービス料金の値上げや食料品などの価格上昇を背景に、民間消費支出は2.4%減となった。加えて、2018年6月にIMFと融資枠の合意後、融資取り付け条件(コンディショナリティー)の達成を目的に、公的部門の支出が抑えられた影響で、政府消費支出は3.3%減となった。

今後のGDP成長率について、アルゼンチン中央銀行が発表している現地民間エコノミストらによる最新の経済見通しの集計値(REM、3月6日発表)では、2019年がマイナス1.3%、2020年、2021年はいずれも2.5%と予測されている。

(高橋栞里)

(アルゼンチン)

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