EU、英国議会の離脱協定案承認をブレグジット延期の条件に

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年03月22日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は3月20日、英国のテレーザ・メイ首相から、6月30日までEU離脱(ブレグジット)延期を求める書簡を受領したと発表。同議長はEU首脳との意見調整(2019年3月20日記事参照)をここ数日進める中で、短期の離脱延期について手応えを感じているとしたが、その前提条件には「英国議会の離脱協定案承認」があるとの認識を明らかにした。

離脱延期の是非判断は、英国議会の出方次第

トゥスク常任議長は書簡受領後にメイ首相と電話協議を行ったが、6月30日までの離脱延期を求める提案について「法的・政治的観点で幾つもの疑問が生じている」と指摘した。

また、メイ首相の書簡にあるもう1つの要求である離脱協定に関する法的拘束力を有する共同文書と、EU・英国の将来関係の政治宣言を補足する共同声明に関するストラスブール合意(2019年3月12日記事参照)について、トゥスク常任議長は、リスクはなく、3月21、22日のEU首脳会議で承認されるとの見解を示した。

このため、英国側の離脱延期要請について、今回のEU首脳会議では最終決定を見送り、翌週の離脱協定案をめぐる英国議会採決の結果を見て、EU首脳が離脱延期の是非を判断することになるとみられる。議長の見立てによると、離脱延期の是非を協議するための臨時EU首脳会議の開催は基本的には不要で、英国議会での採択が確認された場合、EU首脳の意思を書面で確認する形式を想定している。

同議長はブレグジット問題をめぐる現在の閉塞(へいそく)状況を「ブレグジット疲れ(Brexit fatigue)」としたが、「最後の瞬間まで、最善策を見いだすことを諦めることはできない」との姿勢を見せている。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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