ノンカイ税関経由のラオスとの貿易、品目の多様化進まず

(タイ)

企画部海外地域戦略班

2019年03月22日

ノンカイ税関によると、2018年度(2017年10月~2018年9月)の同税関経由によるタイからラオス向けの輸出額は498億4,503万バーツ(約1,744億5,761万円、1バーツ=約3.5円)、輸入額は64億6,301万バーツとなり、タイ側の圧倒的な輸出超過となった(3月7日ヒアリング)。最大の輸出品目は石油製品(石油、歴青油、これらの調製品)で、輸出全体の約20%を占める。次いで、乗用車が9%だ。ラオスからの輸入は電気(電力)の構成比が圧倒的に大きく、輸入全体の約57%を占めた。

バンコクから国道1号、さらに国道2号を経由して東北方面へ約600キロ。東北(イサーン)地方にあって、メコン川を隔ててラオスと国境を接するノンカイ県は、古くからラオスとの交易の主要拠点として知られる(添付資料参照)。しかし、相対的なアクセスの悪さに加え、国境周辺の産業集積が進まないことなどから、ノンカイ税関を通じたラオスとの貿易額は2012年度以降、減少傾向が続いている。バンコクから東へ延びる東西経済回廊に沿い、ラオスに抜けるムクダハン(タイ側)~サワンナケート(ラオス側)間の国境貿易が、ハードディスクドライブやパワーデバイスなどの工業製品に牽引されて急速な伸びを示しているのとは対照的だ。

現在、ノンカイと対岸のラオスの首都ビエンチャンを行き来する貨物のほとんどは、メコン川に架かる第1タイ-ラオス友好橋を通過する(注)。貨物の輸送形態には、トラック輸送と鉄道輸送がある。鉄道輸送は1日2往復のみ、かつ旅客がメインで、貨物は旅客列車の空きスペースで少量輸送が行われているのが実態だ。そのため、大半の貨物はトラックで輸送されている。

税関の報告によると、2018年に第1タイ-ラオス友好橋から国境を通過したトラックのうち、貨物を積んだ状態でタイからラオスへ出国したのは、1カ月当たり平均6,309台だったのに対し、入国は385台で、16倍以上の開きがある。一方、乗用車の出入りがともに平均約4万8,000台、ヒトの往来は出入りともに平均23万人台だ。(表参照)

表 ノンカイ国境税関における形態別の出入国状況(対ラオス)(2018年)

(注)ノンカイ県には、メコン川沿いに、対岸のラオスとの間を渡し船で往来する貨物に対応する税関が4カ所ある。それらの取り扱いは少量の日用品や食料品に限られ、輸出入全体に占める割合は低い。

(伊藤博敏)

(タイ)

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