EEC域内の大規模プロジェクトが国全体の対内投資を牽引

(タイ)

バンコク発、企画部海外地域戦略班

2019年03月08日

タイ投資委員会(BOI)のドゥアンジャイ長官は、タイへの2018年の国内向けの投資総額のうち、東部経済回廊(EEC)の対象3県(チョンブリ、ラヨーン、チャチュンサオ)向けが、申請ベースで4分の3、認可ベースで3分の2近くを占めたと明らかにした。タイを訪問した日本のプレス一行との面談において、3月4日に明らかになった(注)。

2018年の投資申請総額は前年比32%増の9,017億7,200万バーツ(約3兆1,562億円、1バーツ=約3.5円)、申請件数は3%増の1,626件だった。そのうち、EEC向けの投資申請額は6,839億1,000万バーツ、件数は422件となり、金額ベースで75.8%を占めた。また、認可ベースでみると、総額5,494億8,100万バーツ(認可件数1,469件)のうち、EEC向け投資は3,433億3,900バーツ(415件)で、62.5%を占めた。

申請ベース、認可ベースのいずれも、EEC対象の3県向けの投資が、国全体の対内投資を牽引している。EEC向けの1件当たりの投資額(申請ベース)は国全体平均の約3倍で、大規模プロジェクトが同地域に集中している状況が分かる。

また、2018年の外国直接投資(FDI)認可総額は914件、2,556億バーツとなり、うち日本は315件、936億7,500万バーツと、金額ベースで36.6%を占めた。

日本からの直接投資は、BOIが奨励するターゲット産業向けの投資が80%を占め、産業別では医療機器や自動化機器、バイオ関連など、ハイテク化、高付加価値化が進んでいる。特徴的な案件として、ドゥアンジャイ長官は、HOYAによるランプーン県への眼内レンズ工場設立案件を紹介。また、トヨタやホンダ、三菱などの日系自動車メーカーによるプラグインハイブリッド(PHV)生産、バッテリーEV(電気自動車、BEV)向けの電池生産プロジェクトなどが認可を受けていることを例示した。

なおEEC域内では、デジタル・IoT(モノのインターネット)分野で、日立が2018年9月にチョンブリ県でビッグデータを解析するIoTプラットフォーム「ルマーダ」を活用したソリューションセンターを開設したほか、次世代自動車分野では、2019年2月に日系スタートアップ企業のFOMMがタイ初のBEV車の量産をチョンブリ県で開始している。

(注)日本から報道関係者を中心とする計14人が、3月3~9日の日程でタイを訪れ、国内ビジネス環境の視察を行った。日本アセアンセンターおよびBOIが主催。

(伊藤博敏、田口裕介)

(タイ)

ビジネス短信 0cec5c69444def29