2月の失業率は3.8%、雇用者数の増加幅は1年5カ月ぶりの低水準

(米国)

ニューヨーク発

2019年03月15日

米国労働省が3月8日に発表した2月の失業率は3.8%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと、市場予想(3.9%)より0.1ポイント低かった(表参照)。就業者数が前月から25万5,000人増加した一方で、失業者数が30万人減少した結果、失業率は前月(4.0%)から0.2ポイント低下し、3%台に下がった。労働省は、失業者数の減少について、1月下旬に政府機関の一部閉鎖が解除され、連邦政府職員が復職したことを一部反映していると指摘した。労働参加率(注)は63.2%と、前月と同水準となった。

表 米国の雇用統計(2月速報)

適当な仕事が見つからずに職探しを断念した者や、不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)は、前月から0.8ポイント低下して7.3%と、2001年3月(7.3%)以来17年11カ月ぶりの低水準となった。労働省によると、経済的理由によるパートタイム就業者数は前月から83万7,000人減少して430万人となったが、失業者数と同様、政府機関の一部閉鎖解除によってフルタイムに復職した者の数が増えたことを反映している。

2月の非農業部門の雇用者数の前月差は2万人増と、前月(31万1,000人増)と比べて増加幅が大幅に縮小した。これは、ハリケーン・ハービーとイルマの影響もあって伸び幅が縮小した2017年9月(1万8,000人増)以来1年5カ月ぶりの低水準だ。ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者であるライアン・スイート氏は「ここ数カ月、雇用市場は依然として順調に推移」しており、パニックになるほどではないと述べた。一方で、2019年は「経済(の成長ペース)が緩やかになるにつれて、(2月ほどではないものの)雇用増加も緩やかになるだろう」と指摘した(ブルームバーグ3月9日)。

1月から2月への雇用増加の内訳を主要業種別にみると、対事業所サービス業(4万2,000人増)の増加幅は前月(1万5,000人増)から拡大したものの、娯楽・接客業(増減なし)などが前月(8万9,000人増)から縮小し、建設業(3万1,000人減)、運輸・倉庫業(3,000人減)などが前月から減少に転じた(1月はそれぞれ5万3,000人増、2万9,600人増)。

平均時給は前月比0.4%増(1月:0.1%増)、前年同月比3.4%増(1月:3.1%増)の27.66ドル(1月:27.55ドル)となった。前年同月比が3.4%増となるのは、2009年4月以来9年10カ月ぶり。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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