州知事の呼び掛けでケンタッキー・ビジネス・ツアーを実施

(米国)

ニューヨーク発、米州課

2019年02月07日

ジェトロは1月25日、ケンタッキー日米協会(JASK)、ケンタッキー州政府経済開発省と共催で、同州のビジネス環境の視察を目的とした「ケンタッキー・ビジネス・ツアー」を開催した。ツアーは、マット・ベビン州知事の呼び掛けにより開催されたもので、15企業・団体から18人が参加した。

ケンタッキー州は、自動車をはじめとした製造業の集積地だ。特に日系企業の進出が数多く、自動車関連を中心に外国系企業としては最多の約200社(州政府調べ)が同州で事業を展開している。今回のツアーでは、こうした日系企業の製造工場を中心に視察した。まず、トヨタの世界最大の完成車工場であるケンタッキー工場を訪問。工場は810万平方フィート(約75万平方メートル)で、アメリカンフットボール場169個分に相当する。同工場の1日の生産台数は約2,000台に上り、「カムリ」など同社のセダンの主力車種のほか、日本以外で唯一、レクサスブランドの生産を行っている。同工場へのサプライヤーは国内に約350社あり、そのうち、約100社がケンタッキー州に所在しているという。

次に訪問したのは、キリングループ傘下のフォアローゼズ蒸留所だ。同所で生産されているバーボンはケンタッキー州の主要産品の1つで、日本をはじめとする各国に50年以上前から輸出されている。続いて、トピー工業の自動車ホイール生産工場を訪問。進出は1985年でトヨタより1年早く、同州での操業の歴史は長い。現在、3,600万ドルの設備投資により、生産ラインの新設や、最新鋭化に取り組んでいる。

写真 トヨタ・ケンタッキー工場を視察するツアーメンバー(ジェトロ撮影)

トヨタ・ケンタッキー工場を視察するツアーメンバー(ジェトロ撮影)

ツアーの最後には、知事公邸で行われたJASK主催の新年会に参加した。日本への留学経験も持つホスト役のベビン知事は、ツアーメンバーの参加を歓迎するとともに、「日本からの投資による州経済への貢献はよく知られている。今後、さらに関係を強化していきたい」と発言した。ツアー参加者からは「米国での大手企業や1次メーカーの生産現場を見ることができ、日本との違いをイメージできた」と工場視察が参考になったとの声や、「現地法人を立ち上げる上での州政府機関とのコネクションを得ることができた」など州政府との関係づくりを評価する声が聞かれた。

写真 JASK新年会であいさつするベビン知事、左はグレンア知事夫人(ジェトロ撮影)

JASK新年会であいさつするベビン知事、左はグレンア知事夫人(ジェトロ撮影)

同州の魅力の1つは、製造業が集積する米国中西部と南東部のちょうど中間に位置し、どちらにもアクセスが便利なことだ。2019年4月からは、州経済開発省の働き掛けにより、日系企業が多く集積するロサンゼルスから同州最大都市のルイビルへ、アメリカン航空の直行便が毎日運航することが決まっている。州政府は、西海岸からのアクセスが改善されることにより、同地域に拠点を持つ日系企業のビジネスの取り込みにも期待を寄せている。

(若松勇、赤平大寿)

(米国)

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