ソチ投資フォーラム、地方政府が積極的に外資と交流

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年02月21日

ロシア南部のソチで2月14~15日に「ロシア投資フォーラム」が開催され、2018年より3割増となる8,000人が参加した。商業機密として伏せられた契約を除く合意や覚書の件数は567件、金額にして総額9,680億ルーブル(約1兆6,456億円、1ルーブル=約1.7円)に上った(「ロシア新聞」2月16日)。

フォーラムには、ロシアの各連邦構成体の代表や実業家が出席したほか、65カ国を超える外国の参加もあった。フォーラムのホストを務めたドミトリー・メドべージェフ首相は、モスクワ市政府とフランスの自動車会社のロシア法人「ルノー・ロシア」による高度システム開発の提携合意など、複数の締結調印式にも出席。「ルノー・ロシア」は、モスクワでの輸送インフラと都市サービスを組み合わせた次世代型高度システムの開発事業に少なくとも3億5,000万ルーブルを投じる。モスクワ市との提携期間は5年を予定している(「リアノーボスチ」2月14日)。

オランダの電機大手フィリップスのロシア法人はタタルスタン共和国、ロシア直接投資基金(RDIF)と、保健分野における相互理解覚書を交わした(タタルスタン共和国大統領公式サイト2月14日)。共和国内で放射線診断などの共同事業を実現し、最先端の医療・IT技術を活用することで、心疾患やがんの早期発見につなげることが狙い。同共和国は、米国の電池メーカー「デュラセル(DURACELL)」のロシア法人「デュラセル・ロシア」とも、乾電池・バッテリーの分別回収とリサイクルシステム構築に関する合意を結んだ(注)(「リアノーボスチ」2月14日)。

また、チェチェン共和国は省エネとイノベーション技術導入を進めるため、ドイツのシーメンスのロシア子会社と工業、エネルギー、交通部門の提携で合意。電力配電網の設備更新や、スマートグリッドによる制御システムの構築、発電設備の建設も計画している(「シーメンス・ロシア」2月14日)。

このほか、ロシアのデベロッパー「コルトロス(Kortros)」と、中国国営ゼネコンの中国成套設備進出口集団(China National Complete Plant Import and Export Group Corporation)が提携合意に調印。合弁ゼネコンの設立や、コルトロスが手掛ける国内事業の請負契約などを視野に入れている(「ベドモスチ」紙2月14日)。

(注)デュラセル・ロシアは、タタルスタン共和国を含むロシア国内40地域の580カ所に分別回収地点を設けている。

(市谷恵子)

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