2019年上半期の景況感指数、製造業・サービス産業ともに悪化

(シンガポール)

シンガポール発

2019年02月14日

シンガポール経済開発庁(EDB)が1月31日に発表した同国の製造業における2019年上半期(1~6月)の景況見通しは、一段と悪化した。調査は四半期ごとに実施され、製造業約395社が回答した。調査結果によると、景況感を表す景況感指数(DI値)はマイナス14となり、前回調査(注1)のマイナス1から大きく低下した(図1参照)。DI値は、景況感を数値で示す指標で、景気が「改善」すると回答した企業の割合から「悪化」とする割合を差し引いた数値。

図1 シンガポール製造業のDI値(2019年1~6月)

部門別にみると、一般製造やエレクトロニクスなど4部門の見通しが一段と悪化した。特に、エレクトロニクスのDI値はマイナス45と、前回調査のマイナス7から大きく悪化した。精密エンジニアリングもマイナス24と、前回のマイナス21から低下した。EDBによると、エレクトロニクスと精密エンジニアリングの両部門は、半導体や半導体関連機器の需要減退や、貿易紛争に対する懸念の高まりによる発注の軟化を見込んでいる。

他方、バイオメディカル(医薬品・医療機器)製造と輸送エンジニアリングのDI値はそれぞれ6、4とプラスだった。ただし、輸送エンジニアリングは前回調査の21から大きく低下した。EDBによると、バイオメディカル製造は、主に医療機器の輸出が好調な点を要因としている。

サービス産業の景況感も悪化

シンガポール統計局は同日、同国のサービス産業における2019年上半期の景況見通しを発表した。調査は四半期ごとに実施され、サービス業約1,500社が回答した。調査結果では、DI値がマイナス4と、前回調査(注2)のマイナス3から悪化した。

部門別にみると、宿泊など6部門がマイナスとなった(図2参照)。中でも、宿泊のDI値はマイナス26と前回調査のマイナス17から大きく落ち込み、運輸・倉庫もマイナス19と前回のマイナス3から大きく低下した。シンガポール統計局によると、宿泊や運輸・倉庫では年末休暇・祭日シーズンを過ぎた季節要因による落ち込みがみられるほか、卸売りと金融・保険は米中貿易摩擦の事業運営への影響に起因するとしている。

図2 シンガポールのサービス産業のDI値(2019年1~6月)

他方、情報通信と飲食サービスのDI値はそれぞれ13、4とプラスで、前向きな見通しを示した。ただし、飲食サービスは前回調査の36から大きく低下した。

(注1)前回調査(2018年10月31日発表)は、2018年10月~2019年3月の期間が対象。

(注2)前回調査(2018年10月31日発表)は、2018年7月~2018年12月の期間が対象。

(源卓也)

(シンガポール)

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