在ロ日系企業景況感、ルーブル安を受け2期連続で低下

(ロシア)

モスクワ発

2018年10月01日

ジェトロは9月10~21日に、在ロシア日系企業景況感調査を実施した。自社の景況(最近の状況)DI(注)は、前回調査(2018年5月2日記事参照)に比べ6ポイント減のプラス21となった(図1参照)。自社の景況見通し(2カ月後の状況)DIも、5ポイント減少しプラス17だった。

図1 自社の景況DIと2カ月後の景況見通しDIの推移

前回調査以降、米国による対ロ追加制裁や鉄鋼・アルミ製品への関税引き上げ措置の導入、これらに対するロシアの対抗措置などの動きがみられるなど、米ロ関係が悪化する事案が続いた。緩やかな景気回復は継続しているものの、a.これらに影響されたルーブル為替レートの下落、輸入品価格の上昇、b.2019年1月からの付加価値税増税、年金改革などによる消費者心理の冷え込みが見込まれる状況下、景況DI・景況見通しDIとも6期連続でプラスを維持したものの、前々回調査(2018年3月23日記事参照)をピークに2期連続の低下となった。

製品・サービスの自社販売価格DIは、プラス13で前回調査から低下したものの2期連続のプラスになった(図2参照)。製品在庫DIは、4ポイント上昇しプラス6と2期連続で改善した。資金繰りDIは、1ポイント悪化したもののプラス2と6期連続でプラスを維持した。

図2 販売価格DI、製品在庫DI、資金繰りDIの推移

前述のルーブル為替レート下落により、自社販売価格の引き上げを検討する企業が多数みられた。在庫・資金繰りは、現在のところ改善を維持している。

今回の調査は、モスクワ・ジャパンクラブ商工部会とサンクトペテルブルク日本商工会の協力の下、モスクワ周辺、サンクトペテルブルク周辺、沿ボルガ地域などに所在する日系企業250社を対象に実施し、63社から回答を得た(同一企業による別拠点回答を含む)。回答企業のうち、製造業は9社、非製造業は54社だった。

(注)景気動向指数DI:ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略。「良い」(または「上昇」「不足」「改善」)と回答した企業の比率から、「悪い」(または「下降」「過大」「悪化」)と回答した企業の比率を差し引いた数値。DI={〔「良い」/(「有効回答数」-「不明・該当せず」)〕-〔「悪い」/(「有効回答数」-「不明・該当せず」)〕}×100。

(齋藤寛)

(ロシア)

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