2040年に向け世界の1次エネルギー消費の伸びは減速

(世界)

米州課

2019年02月20日

世界の1次エネルギー消費は、インド、中国をはじめアジア全域での生活水準向上により、2017年の135億1,100万トン(石油換算)から2040年には178億6,600万トン(同)へ32%増加するものの、年平均の伸び率は、1995~2017年の2.1%から2017~2040年には1.2%へと減速する。英国石油開発企業大手のBPが2月14日発表した2019年版の「BPエネルギーアウトルック」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注)で明らかになった。エネルギー需要の伸びの減速は、GDPや人口の伸びがスローダウンするためとみている。

報告書によると、1次エネルギー源別内訳では、2017~2040年には石油の比率が34%から27%へ、石炭が28%から20%へと減少する一方、価格が安く二酸化炭素排出量が少ない天然ガスの比率が23%から26%へ上昇し、ガスへの転換がさらに進む。天然ガス消費の増大は、産業用、発電用の利用拡大が主因だが、報告書では、プラスチックや梱包(こんぽう)材の使い捨て禁止の動きが石油・天然ガスに対する需要を下押しする要因になるとしている。一方、非化石燃料である再生可能エネルギーの比率は、4%から15%へと急増する。再エネは年平均7.1%と1次エネルギーの中で最も高い伸びを示すとみる。

部門別エネルギー消費では、輸送用の比率が21%から20%、化学・石油化学など産業用が43%から42%へと若干減少する一方で、住宅や商業用建物など民生用のエネルギー消費が29%から32%に増加するとみている。輸送用の比率の減少は、内燃機関の燃費向上、電気自動車(EV)の普及拡大によるという。EVの普及は2040年で3億5,000万台(うち乗用車は3億台)を見込み、自動車全体の15%に、走行距離数でみた場合の乗用車に占めるEVの比率は25%に達するとしている。

地域別のエネルギー消費では、2017~20140年にはOECD諸国の比率が42%から32%へ減少し、非OECD諸国が58%から68%へと上昇する。ただし、非OECD諸国のうち、中国の比率は23%から22%へと減少に転じ、インドが6%から11%へと急増するとみている。これまでエネルギー消費を牽引してきた中国から、インドなど他のアジア諸国へ、製造業の比重が徐々にシフトしていくと予測している。

(注)同報告は国際エネルギー機関(IEA)が毎年発表している「世界エネルギーアウトルック」とともに、エネルギー業界で広く活用されている。

(木村誠)

(世界)

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