ノー・ディール時の複数国とのFTA継続合意を公表

(英国)

ロンドン発

2019年02月05日

英国政府は1月30日から2月1日にかけ、チリ、東南部アフリカ(コモロ、マダガスカル、モーリシャス、セーシェル、ザンビア、ジンバブエ)、フェロー諸島と、既存のEUとの自由貿易協定(FTA)をEU離脱(ブレグジット)後も英国が継続することに合意・署名したと発表した。これにより、ブレグジット後に移行期間が設けられた場合は同期間終了後に、EUと何ら合意なく離脱(ノー・ディール)する場合は3月29日にEUと上記各国・地域とのFTAを英国が継承する。

英国とチリの2017年の貿易額は18億ポンド(約2,574億円、1ポンド=約143円)で、前年比11%増だった。2003年のEU・チリ連合協定の発効以降、モノとサービスの貿易は年間平均9%伸びている。特に、チリへの輸出額は年平均16%増で、協定発効後4.5倍となった。この協定により、製造業がチリへの輸出を伸ばしているほか、英国の消費者はワインやフルーツ、ナッツなど食品の輸入で恩恵を受けている。

英国と東南部アフリカ6カ国との貿易額は15億ポンドで、協定により同地域から英国への輸出に際して肉・魚で年間3,000万ポンド、衣類で1,000万ポンド、砂糖では約800万ポンドの関税の支払いが不要となるという。

フェロー諸島については、英国は年間約2,000万ポンドの魚介類を輸入しており、今回の合意を受けた無関税貿易の継続により、英国内の消費者は多くの商品を安く購入できる利益があるとしている。政府は今後数週間以内にその他の多くの貿易協定についても継続合意する見込みだ。

他方、2月1日に発効した日EU経済連携協定(EPA)については、日本の財務省関税局が同日、ノーディールの場合は3月30日以降に英国は適用外となって、日本に輸入される英国産品に対してEPAに基づく税率は適用されず、英国に輸入される日本産品についても同様という声明を発表している。

(鵜澤聡)

(英国)

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