英国経済界は歓迎するも、ブレグジット合意の成立を強く要請

(英国、EU)

ロンドン発

2019年02月27日

英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐり、テレーザ・メイ首相が初めて議会に離脱延期の選択肢も提示(2019年2月27日記事参照)したことを受け、英国の経済界からは歓迎の意向と最終的な解決を求める声が上がっている。

英国商工会議所(BCC)は声明で、「首相にとって大きな政治的跳躍である一方、企業が将来計画を策定するために必要な透明性・確実性の観点からはわずかな一歩にすぎない」とコメント。「3月29日に合意なき離脱(ノー・ディール)になることを誰も望んでおらず、これを回避することを企業や地域社会に確約することが(政府の)最優先課題だ」と続け、あらゆるシナリオに備えた明確、詳細かつ正確な情報を企業に提供するよう求めた。

経営者協会(IoD)のエドウィン・モーガン暫定事務局長は「首相が3月12日の採決で否決された場合の次善策を明らかにしたのは正しいこと」とした上で、「無秩序な離脱は英国全土の農業、金融業、製造業、サービス業まで、あらゆる産業に限度を超えた混乱をもたらしかねない」と懸念が継続していることに言及。「延期すること自体は結論ではなく、円滑な離脱を実現することが不可欠になるだろう」とコメントしている。

小規模事業者連盟(FSB)のマイク・チェリー会長は「大混乱と損害をもたらすノー・ディールを防ぐための真の行動を目にした」と新方針を評価し、「議員はこの選択肢を提示された際、3月29日のノー・ディールが英国の小規模事業者に与える損害を認識するよう求める」と続けた。さらに、「ノー・ディールの影響を受けると考える小規模事業者の半数は、その準備に最低2カ月はかかると言っており、3分の1は何が起きても準備できているというような状態にはならない(と言っている)」とも述べ、ノー・ディール回避の重要性を強調している。

製造業団体メイクUK〔旧英国製造業者連盟(EEF)〕のステファン・フィプソン最高経営責任者(CEO)は「政府がようやく企業の声に耳を傾けはじめたことを歓迎する」としつつも、「短期間の離脱延期は、単に無秩序な離脱を数週間先送りにするだけ。(3月29日の)予定より少し後にEUから(無秩序に)はじき出されるようなことはないという確信を英国の製造業者に与えることにはならない」と述べ、政府と議会に対して、現実的なブレグジット合意を成立させるために速やかに結束するよう求めた。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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